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「わかるようになるほど、野球は難しくなる」藤浪晋太郎が語ったエース論と「巨人と阪神の違い」<独占インタビュー/2015年>

2023/10/25
高い奪三振率を誇り、投手として進化を止めない藤浪。タイガースを代表するエースと呼ばれるためには、何が必要なのか。勝負にかける想いのすべてを語る。(初出:Number885号[これから築く新たな伝統]藤浪晋太郎「信頼されてこそ、エース」)

 8月下旬、東京ドームで阪神が巨人に3タテを喰らった、その3戦目。藤浪晋太郎は菅野智之との投手戦に敗れ、翌朝、大阪へ移動した。試合前、悔しい思いをしてから丸一日も経っていないというのに、藤浪は前夜の試合をすっかり整理していた。

「反省材料としては、相手に先制点を与えてしまったことと、それがフォアボール絡みだったのでよくなかったということ。あとは序盤、テンポが悪くて球数が多くなったこと、最後は自分のミスで負けてしまったことですね。ここでミスをしたらいけないという一球の怖さは年々、増しています。野球がわかってきて、プロの配球を考えるようになると、一球に対する恐怖心は大きくなる。

 1年目は何も考えずに投げていたのに、今ではこの一球がここに決まるか決まらないかによって結果が大きく変わってくるということをイメージできてしまいますから、その分、プレッシャーがかかってきたりもします。わかるようになればなるほど、野球は難しくなるんだなと、今はそんなふうに感じています」

「インコースって相手のイメージの中に…」

 8月20日、東京ドーム。

 先発の藤浪は2回、ワンアウトから亀井義行を歩かせ、8番の小林誠司に先制のタイムリーツーベースを打たれた。藤浪によれば、この亀井へのフォアボールと、小林に打たれた打席が1つ目の反省点。その2回に22球を費やし、3回には4人のバッターすべてにボールが先行するなど、序盤、テンポよく投げられなかったことが2つ目の反省点。

 そして3つ目の反省点が、9回裏、先頭の小林に与えた初球、すっぽ抜けのデッドボールと、代打の橋本到のバントを捕り損なったエラーという2つのミスだ。結果的にこのミスが決勝点に結びつき、藤浪は敗れた。それでも藤浪はその試合の中での収穫として、1回のピンチで阿部慎之助から、インコースのストレートで奪った見逃しの三振を挙げた。

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photograph by Tadashi Shirasawa

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