常磐自動車道を宮城の山元インターで降り、国道6号線を10kmほど南下する。脇道に入り、森の切れ目の住宅地を抜けた先に「山元トレーニングセンター」がある。社台ファームの前線基地として知られる、大規模な外厩(調教施設)である。
取材に訪れたとき、皐月賞を圧勝したソールオリエンスがここにいた。馬房の窓から見せる顔は、牝馬と間違えるほど可愛らしい。スタッフに曳かれて出てくると、指示に素直に従い、カメラに顔を向ける。見知らぬ人間たちを前にしても、まったく動じず、自然体を崩さない。そんなソールオリエンスの姿が、実は、ここ山元トレセンで過ごす効力を体現しているのだ――。
今年の皐月賞には、ソールオリエンスを含め4頭の社台ファーム生産馬が出走していた。社台ファームは2009、'10年と2年連続生産者リーディングになって以降2位がつづいているが、昨年の菊花賞でアスクビクターモアとボルドグフーシュが1-2フィニッシュを決め、今年は3歳重賞を6勝(うちGI2勝、5月7日終了時)するなど、生産馬の活躍がとみに目立つ。
その躍進を支えているのが、デビュー前の調教とレースの合間の調整を担う山元トレセンである。1992年に開設され、今年32年目を迎えたここには、10棟の厩舎があり、約300頭を収容できる。一周1100mの周回コースと、全長900mの坂路コースがあり、どちらも素材はウッドチップ。ほかに、馬のランニングマシーンであるトレッドミルや、円形のウォーキングマシーンも複数ある(なお、10棟の厩舎のうち66頭分の2棟を、社台グループの追分ファームが使用している)。
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