世界を股にかけ日本競馬を牽引し続ける巨大オーナーブリーダーは、海外への遠征が当たり前になった現在、いかなるビジョンを描いているのか。吉田俊介副代表に訊いた。
2019年5勝、'20年1勝、'21年4勝、そして今年これまで1勝。ノーザンファーム(NF)が生産した日本馬による、海外GIの勝利数である。近年の活躍は目覚ましく、昨年はラヴズオンリーユーがブリーダーズカップ(BC)フィリー&メアターフで日本馬初のBC制覇を果たし、2時間後にマルシュロレーヌがBCディスタフで日本馬初の海外ダートGI制覇を達成。今年はシャフリヤールが、ドバイシーマクラシックで日本のダービー馬による海外GI初制覇を果たした。
生産馬を海外遠征させる理由について、NF副代表の吉田俊介はこう語る。
「NFの生産馬が、BCや、創設されたばかりのサウジアラビアのレースに挑戦するようになったのは最近のことですが、ドバイや香港のレースへの挑戦は、20年ほど前からつづけています。そして今は、日本のレーシングカレンダーと世界のカレンダーを同時に見て、その馬にとって最適なローテーションを考えるようになりました。当初の予定にこだわらず、レースの結果によって次に挑戦し得るレースを考える。そのなかで、選択肢として海外のレースが浮上する機会が増えたのだと思います」
トゥザヴィクトリーが'01年のドバイワールドCで2着になったのが、NF生産馬による初めての海外遠征だった。以降、毎年生産馬が遠征に出ている。'19年は海外で17頭が30戦、コロナの影響を受けはじめた'20年も5頭が9戦、'21年は11頭が16戦、そして今年は10頭が10戦している。
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photograph by Takuya Sugiyama