PK戦は運か、それとも実力か。
カタールW杯日本代表のエンディングを見届けた翌日、少々寝不足な中で多くの人々が考えさせられたテーマだ。日本はリバコビッチに3本を止められ、ベスト8進出を阻まれた。キッカーの立候補制や「5秒の沈黙」などがピックアップされた一方で、キックの強さやシュートコースによる成功率の違いまでは検証されていない。ということで、今大会のPK戦におけるデータを調べてみた。
日本対クロアチア、W杯史に残る死闘となったアルゼンチン対フランスの決勝が鮮烈だったゆえ、カタールW杯はPK戦の印象が強く残った。その合計は5試合で、ロシア、ブラジル大会などの4試合を上回っている。ペナルティスポットに立った選手数はのべ41人。このうち成功が26人、失敗が15人。成功率にすると63.4%。リバコビッチ(8本中5本失敗に追い込む)やE・マルティネス(同9本中4本)らのPKストッパーを筆頭に、190cm前後かつ逞しい肉体の相手守護神が目前に立つと、キッカーとしては「ゴールが小さく見える」のも致し方ないと言える。
右利きのキッカーが多い中で自然と多くなるのは、強めのシュートを蹴りやすい左方向(図1~3)だ。コースが低くなればなるほどGKの手が届きやすくなり、シュートスピードやコースが甘いと必然的に成功率が下がる。一方で逆を突こうとして右方向を狙うと、シュートスピードは中くらいかコントロール重視の弱めにせざるを得ず、GKの読みが合った場合に止められやすくなる。これは南野拓実だけでなく、スペインのC・ソレールも悪夢を味わったパターンだ。
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