日本代表の攻撃を司るキーマンは全4試合で先発出場を託された。しかし、チームはベスト8の壁に阻まれ、自身も持てる力を十分に発揮できなかった。仲間たちを助けられなかった。そんな悔しさを噛み締めた初めてのW杯――。日本代表への熱い思いを初めて宿した逸材が、このまま終わるわけはない。
ポーカーフェイスが崩れることは最後の瞬間までなかった。
ベスト8以上という目標が夢と散ったクロアチア戦終了後、鎌田大地はミックスゾーンでいつもどおり淡々と振り返った。
だが、複雑な感情を抱いていることは、そのコメントから窺えた。
「言葉で表すのは難しいですね。すごく悲しいし。どう表現すればいいのか、分からないような感じです」
開口一番にそう語った鎌田は4試合とも先発出場を果たした自身の評価を求められると、やはり淡々と冷静に、しかしはっきりと自分にダメ出しをした。
「最低限やるべきことはやったと思いますけど、間違いなく点を取ることを期待されていたので、それができなかったのは自分の実力不足だと思います」
負傷や体調不良を抱えたままカタールに乗り込んだ選手が少なくないなか、鎌田は最高の状態で初めてのW杯を迎えた。
フランクフルトでは公式戦12ゴール4アシストをマーク。チャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出に大きく貢献し、その直後に疲労から発熱したが、「今季は過密日程でずっと試合に出てきたから、ひとつ休めてすっきりした」と前向きだった。
日本代表は、鎌田のチーム――。
開幕前には国内外からそう見られていた。
迎えたドイツとの初戦。トップ下として先発出場した鎌田は前半、チームが一方的に攻められたこともあり、見せ場は作れなかった。後半になって布陣変更が奏功し、日本はドイツを押し込み返す。後半の途中、ポジションをボランチに移した鎌田にも“らしい”プレーが見え始めた。
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photograph by Tsutomu Kishimoto