各選手の欧州での経験が強みの一つとなった日本代表にあって、フロンターレ一筋で活躍してきた31歳の存在感が際立った。Jリーガーだってやれる――、充実のプレーで示した思いとは。
町野修斗はクロアチアとの激闘の最中、時折ピッチに視線を送りながらも、ウォーミングアップのペースを速めていた。
「点を取りにいくときのプランとして、僕の高さがあったみたいで(ベンチからの指示で)準備していました。(出番が)来る可能性が高くなったと感じましたし、ゴールだけを意識しました」
しかし、試合は1-1でこう着したままPK戦に突入し、町野の出番はなし。“26番目の男”は結局、全4試合を通じて一度もピッチに立つことなく、初めて経験するワールドカップを終えることになった。
今大会の日本代表メンバー26人のなかに国内組、すなわちJリーグでプレーする選手は7人。ただし、そこから海外クラブでのプレー経験がある選手を除くと、残るのは町野をはじめ、わずか4人にすぎない。
'98年に日本がワールドカップに初出場した際には22人中21人を占めていた“純国内組”は、今では全体の2割にも満たない圧倒的少数派となり、そればかりか、彼らの出場機会は限られた。
そのひとり、相馬勇紀にしても、敗れたコスタリカ戦1試合に先発出場したのみ。「ピッチ内でチームに貢献できなかったのが悔しい」とつぶやく。
だが、純国内組に厳しい向かい風が吹く環境下にあって、唯一の例外と言うべき存在となっていたのが、谷口彰悟である。
谷口は純国内組では最多となる2試合に出場。それも、決勝トーナメント進出がかかったスペイン戦、そしてベスト8進出がかかったクロアチア戦という二大決戦に先発フル出場し、出色の働きを見せた。
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photograph by Naoyoshi Sueishi