ビッグエアとスロープスタイルの両種目でメダル獲得が期待される3人。大舞台へ向け、三者三様の思いを語った。
北京入りする前、岩渕麗楽の姿はオーストリアにあった。五輪前最後となったスイスでのW杯を終えた後、ビッグイベントであるXゲームも欠場し、他の選手と離れて同地での最終調整を選んだ。
最後の追い込み練習のため? そうじゃなかった。むしろ正反対の理由だった。
「大会が続いて辛い部分があったんです。試合に出るの疲れたなって。スノーボードすることに対してちょっとネガティブな気持ちだったので、自分の好きなパークでリフレッシュしたいと思いました」
プロスノーボーダーの活動を大きく2つに分けるとしたら〝大会〟と〝映像〟になる。岩渕の滞在していたザルツブルクにあるアブソルートパークは、無数のアイテムを完備し、世界中のスノーボーダーが集まっている。岩渕も昨春にはここで撮影を行って、自らの滑りを映像に残した。その時に久しぶりに楽しいスノーボードができた感覚があったのだという。
「大会は技を決めることが最優先。映像はどうやったらカッコよく見えるか。そもそもの考え方からして違うので、それぞれの滑りは全然違います」
大会になると、技術を追求し、恐怖心と向き合い、ストイックに自分を追い込む作業になる。五輪で実施されるのはスロープスタイルが3回目、ビッグエアが2回目。競技として洗練されていけばいくほど、先鋭化して高難度化が進んでいく。
720、900、1080……回転角度を表す数字は、女子では3回転半の1260まで達し、男子はすでに5回転半の1980までいってしまった。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Lee Ponzio