ビッグエアとスロープスタイルの両種目でメダル獲得が期待される3人。大舞台へ向け、三者三様の思いを語った。
村瀬心椛のパンツは太くて長い。日本代表のウェアの場合、女子選手ならSSやSサイズあたりが普通なのに、村瀬は大柄な男子が着用するようなOサイズを選ぶ。
その理由は、村瀬が「カッコよさ」をどう表現するかを考え始めたことにある。
「これまで黙々と集中して練習してたんですけど、動画を撮って見返した時に、やっぱりスタイルとかそういうのが足りないなって感じたんです」
どうしたら自分なりのスタイルが出せるのか。17歳の出した答えはこうだった。
「ただ黙々と練習しているだけじゃうまくなれない。やっぱり楽しさも必要。最近本当にスノーボードが楽しい! って思い始めていて、自分が楽しく滑っていればスタイルも溢れ出てくると思うんです。格好ひとつで気分も変わってくるので、パンツも太くして滑るようにしました。丈も長いですけど、自分は動きやすいし、それが一番合う。例えばパンツが細かったら、今日はちょっとダメだなって(笑)」
集中して自分の世界に入り込んで練習する時間は必要。それと同時に、友達と一緒に和気あいあいと滑る機会や、同じスノーボーダーの妹・由徠と練習後に動画を撮り合う時間も大切にするようになった。
「今年ぐらいからビッグエア以上にスロープスタイルの方が好きになってきた」というのも自然な流れかもしれない。レールを使うジブセクションとジャンプセクションが組み合わさったスロープスタイルの方が演技構成の自由度がはるかに高いからだ。その分“カッコよさ”を表す方法をいろいろと考えられる。
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photograph by Lee Ponzio