#1042
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[舞台裏コラム](2)ここがすごいよ! 日テレ中継

2021/12/18
'87年からスタートした日本テレビによる箱根駅伝中継。どこにカメラを置き、どう演出するのか――先人たちが試行錯誤し、代々磨き上げられてきた放送技術に迫る。

 制作スタッフのべ1000人以上がかかわり、中継カメラ約80台を使用する日本テレビの箱根駅伝中継。駅伝番組は他局にもある中、なぜ“箱根”が圧倒的な人気を誇るのか。その中継に携わりたくて入社、'20年より総合ディレクターに就任した椿亮輔は「選手ひとりひとりのドラマを伝える伝統」が強みの一つだと明かす。

「放送中は選手の名前をフルネームで伝えること、さらには出身高校や細かい出身地など、できる限り具体的な情報を伝えることで、視聴者がランナーに感情移入できるよう心がけています。そのため、人となりを探るための事前取材は制作会社も含めた人員で1年がかりで行います」

 とはいえ、レースは生ものだ。どの場面でどの選手が活躍するかは当日にならないとわからない。

「事前に展開を綿密に想定して30枚に及ぶキューシートと呼ばれるタイムテーブルを作成して本番に臨むんです。放送すべきものの優先順位は、“優勝争い”“襷リレー”“2位争い”“CM”……と決められていまして、30本のCMをどこに入れるかにも毎年苦心しています。あとは順位が入れ替わる瞬間が撮れるかどうか。先頭の入れ替わりは撮れて当たり前で、中位や下位の学校同士の争いで生じる順位変動の瞬間も撮り逃さないようにしなければなりません」

 そのために当日は中継所をはじめとした各ポイントでMESOC(マラソン、駅伝、速報、オンライン、コンピュータ・システムの略)チームと呼ばれる70名以上のスタッフが活躍する。現場から電話で「〇〇選手通過!」などと連絡を取り合い、放送センターにいるスタッフがタイムをホストコンピュータに入力、瞬時にセンターだけではなくデータ放送にも反映されるのだ。

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photograph by Shunji Harada(illustration)

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