#1042
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[舞台裏コラム](1)勝負シューズ戦線、異状あり!

2021/12/18
老舗アシックスのメタスピードスカイを着用して'21年の全日本大学駅伝に臨んだ、駒澤大学の花尾恭輔(左)と佐藤条二(右)
数年前から長距離界を席巻する厚底シューズ。ナイキの牙城を崩さんと他社も開発を進めている。この“厚底戦国時代”に学生が選ぶ一足とは。

 大きな地殻変動の後の“調整期”に入ってきたのかもしれない。大学駅伝におけるシューズの話である。

 地殻変動とは、ナイキの厚底シューズによってトップ選手の着用するシューズが一変したことだ。2017年にナイキが「ヴェイパーフライ4%」を発売したことを発端にして、「エリートランナーは薄くて軽いシューズで走る」という常識が徐々に壊れていった。その象徴が、非公認ながら厚底を履いてマラソン2時間切りを達成したケニアのエリウド・キプチョゲであり、日本においてはマラソン日本記録を更新した大迫傑や設楽悠太(ホンダ)だった。

 そして箱根駅伝への影響が決定的になったのは、'19年の「ヴェイパーフライNEXT%」発売以降だろう。前モデルからアッパーなどが進化したことで履きやすさが増し、さらに同年秋のMGCに出場したトップランナー選手が軒並みピンクの「NEXT%」を着用したことで、大学生ランナーを刺激。'20年1月の箱根駅伝にはナイキの厚底旋風がまきおこった。

 以下、ナイキのシューズ着用者数の変遷だ('18年、'19年は非厚底シューズを含む)。

 2018年:58名

 2019年:95名

 2020年:177名

 2021年:201名

 前回のナイキ占有率は約96%にまで上昇し、大学生ランナーの足元をナイキ1社が文字通り席巻したことになる。

 今年も「ナイキ1強」という大勢に変化はないだろう。11月の全日本大学駅伝でも9割近い選手がナイキを着用しており、彼らが最も大切なレースである箱根駅伝で“冒険”をすることは考えにくいので、急なシェアの変化は起こらないと考えられる。

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photograph by Yuki Suenaga

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