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[“師匠”が語る]プホルス「今が本当のアイツの姿なんだ」

2021/09/10
8月6日、ドジャースタジアムでの試合前には、打ち解けた様子で再会の挨拶をかわす2人の姿があった
ゼロ年代最高の打者として君臨した“ザ・マシーン”プホルスは、5月に移籍するまでデビュー以来の大谷を間近で見てきた存在だ。躍進する愛弟子の素顔や盟友イチローとの違いなど、大いに語った。

 いつの時代も、どの世界でも、「世代交代」の時はやって来る。たとえ現実は残酷でも、目を背けるわけにはいかない。

 現役メジャー最高の強打者、アルバート・プホルスは、優しい笑みを絶やすことなく、今となっては、かつての同僚となった大谷翔平の成長過程について、丁寧に言葉をつないだ。41歳となった今年5月、エンゼルスからドジャースへ電撃移籍し、大谷らとは別の道を歩む決断を下した。不動のDHとなった大谷、一塁手ジャレッド・ウォルシュの台頭もあり、自らプレー機会を求めた結果だった。

 客観的な事実だけを捉えれば、全盛期を過ぎたベテランが、若い力に追われた形なのかもしれない。だが、通算3000本安打、2000打点、650本塁打をクリアし、将来の野球殿堂入りが確実視される球界の至宝は、時代の変遷をしっかりと見つめ、現実を受け入れていた。

「ショーヘイが今年ブレークしたのは、彼がより気分良く感じられているのが理由だと思う。彼は異国からやって来て、文化を受け入れてきたわけだが、おそらく最初の数年間はとても難しかっただろう。特に、彼にとって英語は第二言語だしね」

 ドミニカ共和国出身のプホルス自身も、カージナルスに在籍していた2001年、異国の地・米国でデビューした。同じように海を越えてきた大谷の苦労は、想像するまでもない。しかも、過去数年は故障と向き合う姿を、同じクラブハウス内でつぶさに見てきた。

「今年は、去年やそれ以前の年よりも健康でいられることが大きいと思う。それまでは肘や膝の心配があったし、打席でも下半身が完全ないい状態ではなかった。それが今は強度のある健康な状態だから、マウンド上だけでなく、打席でも本当のショーヘイが見られているんだ」

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photograph by AFLO

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