なんとなくわかったつもりでいることが、実はよくわかっていなかった――ということはあるものだ。『オリンピア』の読後感である。刊行は1963(昭和38)年、東京五輪の前年である。著者はギリシア史学の泰斗。
古代オリンピックは、アテネ、スパルタ、エリスなどギリシア圏のポリス(小国家)が、主神ゼウスへの祝祭としてオリンピアの地で技を競い合った。常々ポリス間は「慢性的戦争状態」にあったが、4年に一度のオリンピック開催中は休戦となる。というあたりまではぼんやり知ることであったが、詳細は知らぬままできた。
「要するに古代オリンピックは、ギリシア市民による、市民たちのための競技であった」とある。ここでいう市民は近現代でいう市民ではなく、「ある程度の土地と奴隷と家畜」をもった、いわば有産階級である。参加する競技者は「全裸」であったというからびっくりする。
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