近代オリンピックの父――。フランスの貴族、ピエール・ド・クーベルタン男爵に付与された勲章である。確かに五輪復興にかかわる最大の功労者ではあったが、オリンピック再生の動きはさまざまにあった。
著者の佐山和夫は、主にベースボール史の発掘を手がけてきた作家であるが、本書では欧州各地を訪れ、証言や原資料に当たりつつ、近代オリンピック成立前後の事情を探っている。
若き日、クーベルタンはラグビー発祥地、ラグビー校を訪れて感銘を受けるが、スポーツ王国・英国ではオリンピックを冠とする大会がすでにいくつかあった。
「ウェンロック・オリンピアン・ゲームズ」はその一つ。種目には「ブタ追い」「手押し一輪車競走」などもあって、要は農村祭りであったが、クーベルタンは主宰者と交流を深めていく。
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photograph by Sports Graphic Number