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『ブラックボランティア』 東京2020ボランティア問題に 見え隠れする、日本社会の古層。

2018/10/10
『ブラックボランティア』本間龍著 角川新書 800円+税

 再来年に開催される東京オリンピック・パラリンピック。そのボランティアの動員に大きな問題があると指摘する本書は、インターネットなどで大きな議論を呼んでいる。

 五輪はいまや巨大な商業イベントになっており、今回の東京五輪でもスポンサー収入はすでに数千億円。それなのに、なぜイベントを支えるスタッフには無償のボランティアを強いるのかと著者は訴える。宿泊費も支給されず、語学や医療などの専門家にまで、五輪組織委員会は無償を求めている。

 そもそもボランティアという英単語について、著者は「自ら志願することを意味してはいるが、無償という意味ではない。日本ではボランティアというとほぼ無償活動と受け取られるが、それは間違っている」と指摘する。実際、厚生労働省も公表されている資料の中で、ボランティアを「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」と定義。その性格として「自主性、社会性、無償性」を挙げており、「金銭を得る活動を有償ボランティアと呼ぶ例もある」と付記。無償であることよりも、自発的であることを前面に出している。そもそもボランティアのラテン語の語源も、自発性を意味しているのだ。

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