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『ストロング・スタイル』 「強さとは何か」を問う。 この物語こそがプロレスだ!

2018/10/21
『ストロング・スタイル』行成薫著 文藝春秋 1700円+税

「プロレスは、真剣勝負だ」

 揺るぎない事実を本書で再確認した。ロープに振ると戻ってくる、相手の技を受ける、反則は5カウントまで……。ファン以外の者からすると不可解だろう。作品中でも、レフェリーがボディチェックをする際にどちらが何分で勝つのかを脚を叩いて伝える、試合中にアイコンタクトや耳元で囁き展開を伝えるなど、「八百長だ」と断定したくなるシーンが、何の悪気もなく描かれている。しかし、心身を削り、魂を、人生をかけるこの姿は、真剣勝負そのものではないか?


 この物語は、日本最大のプロレス団体・JPFの若きスター御子柴大河と、彼の小学校の同級生であり、インディー団体で成り上がっていく小林虎太郎の二人の20年来のライバル関係を軸に進む。小学校時代、プロレスの魅力を小林に伝えたのは御子柴だった。しかし、ある事故が起こってしまう。そして、二人は30歳の大晦日にドーム大会で対戦する。家族が見守る中で、試合は一線を超え……。

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photograph by Sports Graphic Number

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