#946

記事を
ブックマークする

『ユニヴァーサル野球協会』誇大な“妄想”がゲームを動かす、アメリカならではの野球小説。

2018/02/28

 個人的には、ゲームにはまったく縁がないのだが、野球関係のコンピューターゲームっていろいろあるんですね。それにデジタルの世界だけではなく、「野球盤」というのも昔からあったわけで、野球はゲームと相性がいいのでしょう。そもそも野球の試合も「ゲーム」だし。

 本書は、正確には「スポーツ小説」ではなく「野球ゲーム小説」である。

 主人公のヘンリーは、会計事務所に勤める冴えない男。その彼が独自に野球ゲームを考案し、舞台として「ユニヴァーサル野球協会」という架空のリーグを設定した。ゲームで使われるのは、三つのサイコロだけ。出目によって、予め決められた状況が選ばれ、試合が進行していくスタイルだ。数字にこだわり、記録や統計を愛するが故に、ヘンリーはこのゲームに異様なまでにのめりこむ。やがて現実とゲームの境目が曖昧になって、彼の世界は崩壊していくのだが……。

会員になると続きをお読みいただけます。
オリジナル動画も見放題、
会員サービスの詳細はこちら
特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

0

0

0

前記事 次記事