リーガ・エスパニョーラの愉楽BACK NUMBER
本当に92億円の価値はないのか?
レアルの「カカ不要論」を検証する。
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byMutsu Kawamori
posted2011/03/13 08:00
太ももの負傷で、再び戦列を離れることになったカカ。モウリーニョは、「メディカルスタッフは完全に復調してから復帰させた方がいいと判断しており、私もそれに賛成だ」とコメントしているが……
カカの起用法で見えるモウリーニョの思惑。
グアルディオラ率いるバルセロナはカンテラで育て上げた選手たちによって、相手陣内で試合を展開する攻撃サッカーを実現している。バルセロナのようなカンテラを持たず、グアルディオラのような攻撃サッカーのノウハウも持たないモウリーニョだが、幸運なことに彼はカカという駒を持っている。
カカを軸にした攻撃を追求することで、モウリーニョは確実に新たな攻撃オプションを手にすることができる。そしてそれは、モウリーニョとレアルのサッカーを変える可能性を持つ。
そう考えれば、ミラン時代のような圧倒的な突破力はなくなったカカだが、まだまだ92億円をつぎ込んで獲得しただけの価値をいまだに持っていると言えなくはないか。間違っても、その半額に近い値段で売り払うべき選手ではない。
果たしてモウリーニョは現在のカカをどう見ているのか。サッカーをあらゆる側面から細分化するというモウリーニョならば、周囲が唱えるカカ不要論など、気にもしないはずだが……。今後のカカ起用法に注目するだけでも、モウリーニョの思惑を垣間見ることができそうだ。