博多の人・王貞治BACK NUMBER
「王さんに、聞いておいてください」王貞治本人の重大証言…ON決戦後に王は辞めるつもりだったのか?「だって、巨人に勝ちたいじゃないですか」
text by

喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/09/30 17:04
2000年、日本シリーズ「ON決戦」後の両雄。もしも巨人に勝っていたとしたら、王にはある重大な思いがあった?
負けて、かつてないほどに悔しがった。城島も小久保裕紀も、王自身が“イズム”を崩すシーンを目撃していたのだ。
それは裏を返せば、勝っていれば、これ以上ない至福の思いに包まれていたはずだ。
巨人に、長嶋茂雄に勝ったのだ。
城島からの「取材依頼」に王の答えは
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ON決戦に勝っていたら、辞めていたのではないですか? そう城島君に聞いておいてください、と言われました。
舞台裏のやり取りも明かすと、王は「ああ、そう?」と興味深げな反応を見せた。
「辞めることは、何というのかな……。自分の意志で辞める、という考えはなかったけど」
その“次の言葉”を待つ、こちらの動悸がふと、高まった。
「そういう流れができたら、乗ってもいい、というのはあったよね」
球団から「これを区切りに」と言われることも、王は心のどこかで覚悟していたのだ。
「うん、だって、選手は自分の力だけで生きていけるけど、監督っていうのは、自分の力だけでは生きていけないからね。僕は、散々悪いときに生かしてもらったからね」
監督・王貞治は、初優勝まで5年、巨人との日本シリーズ実現には、6年の月日を要した。その大命題を達成した組織は、また次なる高みを目指していく。
巨人に勝って、2年連続日本一になっていれば——。
その第二のスタートには、まだ見ぬ、新たな道を切り開いていく役割が求められる。
だから、ここまでの基礎を作ってきた王とはまた別の人に託したいと、組織の発想としてそうなるのも、決しておかしなことではない。
功労者だからこそ、球団はその「花道」を作る。
その流れに従って、王は静かに「勇退」をする。
「自分の考えと違って、球団から『もう一段上に行くために』という考えがあれば、それは受け入れざるを得ないんだよ」

