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「南野拓実なら外さない。これ、勝てるぞ」カタールW杯・森保ジャパンの名参謀が語った“PK戦の誤算”「森保さんがPK戦で負けるのを見たことがなかった」
text by

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2026/06/29 11:03
カタールW杯クロアチア戦のPK戦で1人目のキッカーとしてペナルティエリアに立った南野拓実
「失敗は誰にでもある。そこでネガティブにならずに、どんどんチャレンジすることが大事なんだよ。お前たちももっと技術を身につけて、あの舞台でPKを蹴れるような選手になれよ」
バッジョもプラティニもマラドーナも外してる
ダガンの手紙以来、W杯では通算35試合がPK戦にもつれ込んだ。最多勝は、アルゼンチンの6勝。日本を含む過去2回以上PK戦を戦った15カ国の中で、いまだ敗北の苦みを知らないのはドイツ(西ドイツ時代を含む)、クロアチアのみである。
果たして、W杯のPK戦で勝つために必要なものは何か。横内は、こう思う。
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「経験値って、大事なんだろうなと感じています。だって、あのバッジョも、プラティニも、マラドーナも、W杯でPKを外しているんですよ。逆にクロアチアは、直近の2大会だけで4回PK戦を戦って、4回とも勝っている。僕らとクロアチアの差は、経験の差だったと思っています。カタールでの悔しい思いがあるからこそ、森保さんは北中米W杯で徹底的に準備して、経験を生かすはずです」
優れたアスリートは、経験を糧にする。パラグアイ戦から400日後、駒野はあの号泣以来初めてPK戦に臨んだ。ナビスコカップ王者・ジュビロ磐田と南米のコパ・スダメリカーナ王者・インデペンディエンテ(アルゼンチン)が激突したスルガ銀行チャンピオンシップで、磐田の4人目に指名された。
ペナルティスポットへゆっくり歩き始めると、スタンドがざわついた。駒野本人も異変に気付いた。
「えっ、駒野? 蹴るの? 大丈夫かって、戸惑う声がすごく聞こえてきた。南アのブブゼラの音は覚えてないけど、あのざわめきはなぜか鮮明に覚えてますね」
喧騒を耳にしながら、丁寧にボールをセットした。顔を上げて、7歩下がる。パラグアイ戦と同じルーティンで、助走スタート。軸足を右側に向けて踏み込んだとき、視界の隅で相手GKの様子を捉えた。
真ん中のまま。全く動いていない。
浮かせる必要はなかった。右足インフロントで叩いたボールは、地を這う軌道でゴールの“左下隅”へ。スタンドのざわめきは、安堵と祝福の拍手に変わった。
「舞台は違うんですけど、あのPKが決まったとき、少し気持ちが楽になったというか、肩の荷が下りた気がしたんですよね」
誠実な男は、ゴール裏に向かって控え目に拳を突き上げた。
<前編から続く>
