サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「あれは教えられない」久保建英17歳の“天賦の才”を長谷川健太は見た…それでも指導者として伝えた“絶対に必要なこと”「ガンバでは堂安律にも…」
text by

戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2026/06/14 11:42
2019年、長谷川健太監督の信頼に結果で答えた久保建英。FC東京での経験を糧に、18歳でスペインへと飛び立っていった
久保建英の天才性「あれはもう、教えられない」
ことサッカーにおいて、左利きには「ギフテッド」が多いとも言われる。生まれながらに「授けられた才能」である。レフティーの選手が表現する独特な感覚は、教えられるものではない。
「建英はボールタッチが細かい。あれはもう、指導者が教えたからといってできるものではない。それと、普通に走るのとドリブルするスピードがあまり変わらない印象です。ドリブルしながら狭いスペースをヒュッ、ヒュッと抜けていく。レフティーだから誰もが独特の感覚を持っているとは言いませんが、我々とは見える景色が違うのかなと。ボールをさらして縦へいって右足でクロスをあげるとかは、そういうプレッシャーをしてくると分かっていても、やはり防ぐのが難しい。右サイドからの左足のインスイングのクロスは、一撃必殺ですし」
久保のドリブルやパス、シュートなどのスキルについて、長谷川はほぼ口を挟まなかった。「伝えなくてもできていた」と言う。彼が託したのは、「利き足の生かし方」だ。
ADVERTISEMENT
「ペナ角右45度で内側へ持ち出して勝負するなら、縦に行っておかないと読まれると。右足で縦にも行ったほうがいいという話をすると、すぐに、器用にこなすんです」
そう言って長谷川は、「サッカーIQが高いんです」と続けた。
「代表選手になる選手は、ほぼみんなサッカーIQが高いですね。こちらがパッと言えば、すぐに理解してプレーできる」
無事に送り出せた安堵と、「建英がいれば…」の思い
2019年シーズン、久保は開幕から定位置を確保した。6月の日本代表の活動前に行なわれた14試合のうち、13試合に出場した。4得点3アシストと数字も残した。
「誰もが認める存在になっていましたね」
シーズン途中の6月4日に、久保は18歳の誕生日を迎えた。同9日には日本代表デビューを飾った。そして14日にはレアル・マドリーへの移籍が発表される。
久保の移籍発表当時、FC東京はJ1リーグで首位を走っていた。長谷川は「無事に送り出すことができた」と、胸を撫でおろした。同時に、悔しさがくすぶる。苦笑いをした。
「ただ、建英とチャン・ヒョンス(アル・ヒラル/サウジアラビアへ移籍)が夏にいなくなったのは、シーズン最終盤でF・マリノスに優勝をさらわれることにつながったのかな……」

