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「同じフィギュアなのに…客席ガラガラ」ペア黎明期にあえて支援を決意「りくりゅう」を支えた社長「売れれば売れるほどマイナス」でもサポート続けた信念
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2026/06/13 11:03
引退会見にも同席した木下氏(左)と「りくりゅう」の絆は深い
「大阪で行われた全日本選手権を見に行きました。そのとき、カップル競技は、がらがらだったんです。全日本って、カップル競技から1日が始まって、男子と女子の順番はそのときどきで異なりますけど、シングルで終わります。観客席に人がいなかったカップル競技が終わってシングルが始まる。最初は成績が下の方の選手から始まるのですが、お客さんが増えていくんですよ。最後は満席。この違いに愕然としました。
たしかに、見ていて当時のキャシーたちのレベルはそんなに高くなかったし、世界のトップレベルに通用するとは思えなかった。でも、同じように頑張っているのに、カップル競技とシングルで応援がこれだけ違う。だから愕然としました。それを見て何とかしたいという思いが私の中で芽生えました。もし観客席がいっぱいだったら、やっていないかもしれないですね」
“合理的”ではない支援の根底にある理念
そこには企業としての独自の価値観があるように感じられる。すると木下氏は語った。
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「芸術の支援もしていますが、私はフィギュアスケートをやれるわけじゃないし、芸術家になれるわけじゃない。でも支援という形でその人と思いを共有できるじゃないですか。そもそも、うちの企業の価値観がそうなんですよね。当社は合理的ではなく、言葉はちょっと変ですけど、労働集約型の人手がいる仕事しかやらないんですよ。多くの方々にいろいろな働く場所を提供して、働いてもらえる人がいて、それぞれにたくさんの家族がいる。1万世帯ぐらいます。そういう企業体でありながら、いろいろな方々を支えることをやっていきたいと思っているんです」
同社で働くという形で、約1万世帯を支える。そのあり方と、スポーツ等への支援は根底でつながっているのだと言う。
「そもそも選手の立場からすれば、人気が出てから支援してもらうより、人気がないときこそ支援してもらわなければならないじゃないですか。広告塔みたいな期待をして、ということもないですね。それだったら無名の選手の支援はしませんから」


