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「なんだあのクレイジーなウェアは?」NIKEにとってACGとは何か…トレイルを走り、テントに泊まって考えた“アウトドアの本質”と空気を操るウェアの秘密
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涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph byNIKE
posted2026/06/10 06:00
NIKEが送り出す革新的なウェア「ラディカルエアフロー」
昨年6月に開催されたウェスタンステイツ・エンデュランスラン。アメリカでもっとも有名かつ歴史のある100マイルレースには、キリアン・ジョルネら世界のトップランナーが集結した。そこで大会歴代2位の記録で優勝したのがACGがサポートするケイレブ・オルソン(Caleb Olson) であり、彼が身に着けていたのがこの「ラディカル エアフロー」だった。その特異なウェアを身につけたケイレブの写真と動画は世界中のトレイルランナーをくぎ付けにした。
NIKEが常識外れのアイテムつくったのか
「なんだあのクレイジーなウェアは?」「NIKEが常識外れのアイテムつくったのか」と。
今季は世界最高峰UTMB制覇を狙うというケイレブは、テスト段階からラディカル エアフローの開発に携わってきた。
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ケイレブはポートランドで僕らの取材に答えて、ウェスタンステイツ(WS)の前後をこう振り返った。
「ラディカル エアフローは不思議な見た目だし、最初は僕のトレイルランニングのスタイルに合わないと思ったんだ(苦笑)。でも、自分のスタイルも最近変わってきて、よりファッショナブルなものも受け入れるようになってきたのかな。元々僕はすごく地味で、服はアースカラーばっかりで派手なものは身につけなかったけど、勝てるのであれば目立つ色のウェアを身につけるのも楽しめるようになってきた。ラディカル エアフローのようなクレイジーなものを着て遅いとダメだけど、調子が良ければいいかなって」
そして「いいギアとは何か」という質問には、こう答えた。
「自分の目的を助けてくれるものかな。例えば、WSで走る時の最大の問題は暑さであり、それを解決してくれるアイテムが欲しかった。ラディカル エアフローの開発段階でテストにも参加しているけれど、小さなディティールにこだわる私の意見を何箇所も反映してもらっているんだ。腕時計を見やすいように袖を短くしてとか、腰に巻くベルトがあるから丈を短くしてほしい、とか。人によって足も体も違うけれど、ACGのプロダクトチームが僕の好みに作ってくれ、あの暑くて過酷なレースで勝つことができたんだ」
筆者自身、レースで着ているときは不思議な感覚に襲われていた。素肌で着用したときに、体とシャツの間にはっきりと「空気の層」を感じるのだ。アウトドアで重ね着をするときに「レイヤー」という言葉を使うが、まさに見えないベースレイヤーを身にまとっているようなのだ。
例えば、スタート前、体も温まっていないタイミングでは空気のレイヤーから「温かさ」、つまり保温力を感じたし、ある程度走って心拍数が上がり、体温も気温も上昇してきたタイミングでは、ひんやりとした「冷たさ」を感じた。これは空気の見えないレイヤーによる体温自動調節機能、つまりランナーの「ホメオスタシス(恒常性)」維持の機能を補助していると言ってもいいだろう。
汗で濡れてべたつくこともなく、ウェットになったのは頭から水をかぶったときだけで、濡れた部分はとても涼しく感じた。もちろん重さはまったく感じず、ふわりとした着心地。
クレイジーカロ「常に風が“いる”んですよ」
30㎞レースの翌日、「Gorge Waterfalls」の100㎞に挑んだ”クレイジーカロ”こと甲斐大貴も着用していたラディカル エアフローのことを語ってくれた。カロは昨年のウェスタンステイツで10位に入り、2月から「All Conditions Racing Department」に加わっている日本のトップトレイルランナーだ。
「もうとにかく不思議なんですよ。見た目でわかる通り、たくさん穴が開いていて涼しい。涼しいんですけど、ただ風を感じるというより風の層ができてるっていう感じ、というか。表現が曖昧かもしれないですけど、ラディカル エアフローと体の間に常に風が“いる”んですよ。着ているだけで、なぜか汗もそんなにかかないし、すごい快適です」
ラディカル エアフローに使用されている繊維自体はポリエステルであり、NIKEの担当者によると「特別なものではない」という。だが、構造、つまり作り方に特別な工夫がされているからこそ、この驚きの着心地が実現できたのだろう。



