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「なんだあのクレイジーなウェアは?」NIKEにとってACGとは何か…トレイルを走り、テントに泊まって考えた“アウトドアの本質”と空気を操るウェアの秘密 

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涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

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posted2026/06/10 06:00

「なんだあのクレイジーなウェアは?」NIKEにとってACGとは何か…トレイルを走り、テントに泊まって考えた“アウトドアの本質”と空気を操るウェアの秘密<Number Web> photograph by NIKE

NIKEが送り出す革新的なウェア「ラディカルエアフロー」

「自転車のトレックと一緒にNIKEで初のロードバイク用のシューズを作ったのもACGでした。バックカントリースキーをする人たちから『ダウンは暑すぎる』と意見をもらって通気性のあるソフトシェルを作ったり、『サンダルでは動きづらく、ブーツでは重すぎる』というカヤック乗りの意見を聞いてカヤック専門のシューズを作ったこともありましたね」

 そして「NIKEで33年働いています」というジュリー・リージャーは生い立ちを語り始めた。

「私はイリノイ州の田舎で生まれ育ちました。そこは何もない場所でしたが、町外れに小さな自然保護地があり、そこで親と一緒に釣りをしたりしていたんですが、ティーンエイジャーになると走るのが好きになって、トレイルランニングを始めたの。ちょっと変わった女の子だったんですね(笑)。そして20歳になる前にウルトラのレースに出会いました。5マイルのループを何周走れるかというエンデュランスレース。コース状にはエイドステーションがあって、食べ物や水があったり、年上の人がたくさんいた。そのレースや場所、そこに集う人たちが好きになり、アウトドアの世界にのめり込んでいったんです」

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 スピーカーとなった彼らに共通するのはNIKEで過ごすキャリアの中で、ACGを担当した時期がある、ということだ。では、なぜNIKEは、ACGのために集まった世界中のメディア(みんなトレイルランニングなどアウトドア好きだ)の前で「パーソナルな語り」を選んだのだろうか? 司会の女性はこう言っていた。

「このフォレストパークは私もよく走るのですが、本当に数多くの木があります。まだ若い木もあれば、古い大木もある。木の一本一本に『あなたは何を見てきたのか』と聞いてみたい。そんな気持ちで、NIKEで働くメンバーの話にも耳を傾けて欲しいです」

 ACGは、NIKEのサブブランドでもある。だが、その名の通り「アウトドアブランド」なのだろう。

 誰もが大なり小なり経験があるかもしれないが、自然のフィールドに足を運び、そこで体を動かせば、自分自身が「集団の中の1人」ではなく「ありのままの自分」に戻る瞬間がある。トレイルランニングも、ハイキングも、キャンプも、仲間がいてこそ楽しいのはもちろんだが、やはり個人として自然と対峙していることを意識する。その時の感覚は、多くの人が暮らし都市に身を置き、働くために組織に属するのとは全く違うはずだ。だからこそ、ACGは、ACGというブランドの本質を伝えるために、一見それに寄与することはなさそうなパーソナルな語りを大事にするのだろう。

 なぜアウトドアで遊んできたのか。

 なぜこのギアが必要なのか。

 なぜこのアスリートに惹かれ、そしてなぜ彼らを支えるのか。

 取材機会をもらえたからと言って、きれいごとばかりを書くつもりがないが、ACGのメディアツアーに参加して感じたのは、これらの問いが、メーカーとしてのマーケティングの手段としてではなく、個人やコミュニティの興味や関心から本当に出発しているということだ。

 そういえば、ウェスタンステイツで優勝したケイレブがこんなことを言っていた。

【次ページ】 わずかに焚火の香りが残る、薄緑色のフリース

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