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猛牛のささやきBACK NUMBER
「日本より緻密な野球を」ベネズエラ代表が完遂した“侍ジャパン撃破の戦略”世界一右腕が明かした「膨大な量のデータを共有」「実はモリシタの情報だけ」
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNanae Suzuki
posted2026/04/23 11:04
準々決勝のベネズエラー日本戦。最後の打者となった大谷翔平を打ち取り、マウンドにはベネズエラ選手たちの歓喜の輪が…
イメージを覆したベネズエラの「緻密さ」
まさにその“緻密さ”は、これまでのベネズエラのイメージを覆すものだった。パワーピッチャーや長打力に象徴される爆発力を備える一方で、大雑把な部分も垣間見え、そこが付け入る隙になるというイメージが過去にはあったが、今大会では日本の守備の弱点を突く好走塁を見せたり、進塁打を打った選手がベンチで盛大に讃えられるなど、“緻密さ”や“つなぐ”精神がチームに浸透している様子がうかがえた。
マチャドも「イメージが変わったというのはまさにその通りだと思う」と同意する。
「今回のベネズエラ代表は若い選手が増えて、その若い選手たちが率先して細かい野球を積み重ねた結果が、WBC優勝に繋がった」と胸を張る。
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日本選手に対する対策も徹底した。
「日本にはメジャーで活躍している選手もたくさんいるし、本当に打者も投手もいい選手が多いので、膨大な量の情報があったんですが、そこから必要な情報だけをちゃんと抜粋して試合に臨めたと思います」
徹底した日本対策、ただ一つの誤算は…
特にスタメンと予想された選手については徹底的に情報が共有された。日本をよく知るマチャドのもとには、他の選手が日本の打者について質問に来て、その都度、特徴などを丁寧に伝えた。だが一つ、ベネズエラにとっては誤算があった。
「スズキ(誠也)選手が怪我をしてしまい、代わりにモリシタ(翔太)選手が入りましたが、モリシタ選手の情報についてはあまり共有できていませんでした。彼の(3回裏の3ラン)ホームランは、その影響もあったんじゃないかなと思います。それまで彼はあまり試合に出ていなくてデータがあまりなかったので。他のバッターに対しては、しっかりと自分からもアドバイスできたし、いろいろな情報を共有できたから、抑えることができたんじゃないかと思います」
ただ、もう一人、この試合で本塁打を放った日本の打者がいる。1回裏にお返しとなる先頭打者本塁打を右中間スタンドに突き刺した大谷翔平である。
「本当に抑えるのが難しいということを誰もが知っている、世界一のバッターですからね。それをまさしくあの1打席目の結果が示しています。ただその後、同じことを繰り返さないように、球種をミックスさせながら投げていったことが、彼を抑える一つの方法になったのかなと考えています」
決勝の「勝利投手」に…マチャドの存在感
マチャド自身は大谷と対戦することはなかったが、8回裏にマウンドに上がると、本塁打を放っていた森下を150kmのチェンジアップで空振り三振に仕留める。2死一、二塁のピンチを招くが、牧秀悟をショートゴロに打ち取り、無失点でクローザーのダニエル・パレンシアに繋いだ。


