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2年前、DeNAから“戦力外通告”を受けた大和(38歳)の知られざる今「正直驚きましたけど…」NPBのコーチを断り、神奈川の公立高野球部で指導者になっていた
posted2026/06/01 11:00
神奈川の公立進学校、光陵高校の野球部でインストラクターを務める現在の大和さん
text by

佐井陽介Yosuke Sai
photograph by
Hideki Sugiyama
◆◆◆
午後5時を過ぎると、夕日が校庭に差し込み始めた。硬式野球部の生徒たちはオレンジ色の空に照らされながら、部長のノックバットから打ち分けられるボールに食らいついていた。
部室はない。28人の部員は皆、教室でユニホームに着替えてからグラウンドに現れる。グラウンドはハンドボール部、陸上競技部、サッカー部と共用である。遊撃ポジションの数m後方にはハンドボール部との仕切りとなる柵が並び、左翼守備の練習はできない。もちろん黒土に整備されているわけでもなく、白土の上を走る白球はどうにも見にくそうだ。
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左翼ゾーンがないのだから当然、フリー打撃はできない。生徒たちはヘルメットをかぶると、ネットで囲われた長さ20m、高さ3mほどのスペースで打撃練習を始める。誰の目から見ても、恵まれた環境ではない。それでも生徒たちは不平不満を口にしない。なぜなら、彼らの本業はあくまで勉学だからである。
聞けば、中学時代に野球で名を馳せていた部員はいない。彼らにとって、野球はあくまで「部活動」なのだ。そこには全国各地どの地域にも存在する、爽やかな公立高校硬式野球部の姿があった。ただ、ほかの公立高校との明らかな違いは、ノックを受ける遊撃手の後方に、かつてゴールデングラブ賞を獲得した元プロ野球選手が立っていた点である。
「みんな、めちゃくちゃ楽しそうでしょ?」
5月のある日。2024年シーズン限りでDeNAのユニホームを脱いだ大和の表情は、すっかり柔らかくなっていた。
「みんな、めちゃくちゃ楽しそうでしょ? 彼らはまだまだ伸びしろだらけです」
38歳になった男は生徒たちの一挙手一投足に目を細めて笑みをこぼした。

