甲子園の風BACK NUMBER
“78歳間近の監督”が甲子園で本音ポツリ「子どもたちにチャンスをもらったのに」「ご苦労様、と」大阪桐蔭と接戦センバツ4強…専大松戸が得た確信
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間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2026/04/05 06:01
専大松戸・持丸修一監督は78歳間近ながらチームをセンバツベスト4に導いた
4回から登板して2点を失ったエース門倉昂大投手も「大阪桐蔭打線は、失投を見逃してくれませんでした。勝負所で決めきれない自分の弱さと、勝負所でプレーの質が高い大阪桐蔭との違いを感じました」と勝敗を分けた差を口にした。高貝規仁主将も「チームとして粘りきれませんでした。ミスが出た時にカバーできませんでした」と嘆いた。
自慢の守備では、ほころびが出た。しかし、攻撃面では大会を通じて、先の塁を狙う意識が徹底できていた。大阪桐蔭戦でも1点を追う8回1死二塁から、二塁走者の吉岡伸太朗選手が相手投手のモーションを完璧に盗んで三盗に成功した。そして、2死から7番・苅部礼翔選手が左翼手の頭を越える適時二塁打を放ち、同点に追いついた。
「4番・捕手」の吉岡は打線の軸を担う。昨秋の公式戦は打率.471で、チームトップの10打点をマーク。身長180センチ、体重95キロのどっしりとした体型は典型的な4番タイプで、決して足は速くない。それでも、次の塁に進むチャンスをずっと狙っていた。
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「事前に相手投手の映像を見ていました。二塁走者をあまり警戒していなかったですし、自分には牽制がこないと感じました。日頃の練習から先の塁を狙う走塁や盗塁を練習してきたので、甲子園でも思い切ってスタートを切れました」
子どもたちが元気で楽しそうで
吉岡が三塁を陥れたからこそ、苅部にも迷いがなかった。カウント3ボール1ストライクから、真ん中に入った140キロの速球を振り抜いた。大阪桐蔭は今大会、暴投が多い。状況は1点差の2死三塁。打順は7番。バッテリーの心理を考えれば、速球でストライクを取りにくると苅部は読んでいた。
「相手はワイルドピッチを嫌がる場面です。ストレートに張っていました。取られても取り返す攻撃が、全国の舞台でも通用した部分は自信を持てました」
専大松戸は2回戦で九州国際大付属、準々決勝で山梨学院と、優勝候補を撃破して初の準決勝に進出した。大阪桐蔭にも、尻込みすることはなかった。
緊迫した試合展開でも、ベンチの雰囲気は常に明るかったという。持丸監督が「子どもたちが元気で楽しそうで、私も引っ張られました」と話すほどだった。チームには、確かな手応えが残った。吉岡が代弁する。
「自分たちは強豪校ではありません。でも、強豪校を倒す目標を掲げて、勝つことができたのは自信になりました。持ち味の守備力をもう一度鍛え直して、今回の経験を夏につなげていきます」
優勝校になるためには何が足りないのか
チーム史上初めて甲子園でベスト4に入り、大阪桐蔭と1点差の接戦を演じた。頂点まで、あと2つ。優勝校の仲間入りをするには、何が足りないのか。持丸監督が語る。

