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甲子園出場に大金が…“ドタバタ寄付金集め”ウラ側「高知農業の卒業生に手紙を」校長明かす「応援グッズで1000万円」「テレビ映るので…」現場の声
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井上幸太Kota Inoue
photograph byKota Inoue
posted2026/04/04 11:00
今春の甲子園、21世紀枠で初めて出場した高知農業高校
幸運だったのは、2017年に21世紀枠で出場した中村高という前例が同県にいたことだ。選出前の段階から、塩田ら学校関係者は中村高がある四万十市に出向き、出場時の資料に目を通した。そこで準備の過酷さを実感することになる。
「応援団を取り仕切る組織を作ることが、まず大変だなと。甲子園への移動手段をどう準備していくか、とか」
どうする寄付金…応援グッズで1000万円
甲子園出場は、とにかくお金がかかる。ベンチ入りメンバーなど現場の面々の交通費、宿泊費は日本高野連が負担するが、応援団は別だ。勝ち進むごとに往復の交通費などがかさみ、追加で寄付を募る出場校も多い。
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中村高の資料をたたき台に、寄付金の目標金額は4000万円程度に設定した。応援団を乗せる大型バスの手配だけでなく、アルプススタンドを彩る“応援グッズ”の準備にも費用がかかる。校長室には、かつてのセンバツ出場校のジャンパー、帽子、メガホンが置かれていた。
「業者さんから送られてきたサンプルです。決まった瞬間に、箱でポーンと送ってくれるんですねえ。『こんなのできますよ、作りませんか』と。これを4000ずつ頼みました。作るだけで1000万円ぐらい、かかっちゅうじゃないですかね」
アルプススタンドのチケットの、約2500席分を学校側が買い上げた。現地に赴く応援団分だけでなく、南国市が開く地元でのパブリックビューイングの参加者にも配布する予定数を加えてのグッズ発注数だ。卒業生への郵送などで寄付を呼びかけているとはいえ、目標金額に届くかどうかは、ふたを開けてみないとわからない。
「“見切り発車”です。でも、見切り発車でないと間に合わない。恐ろしいことですが、そうせざるを得ないんですね」
県立高校という公機関で生きてきた塩田にとっては未体験のことで、さぞ居心地が悪いだろうが、笑ってごまかすしかなかった。
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準備が必要なのは、費用面だけではない。「テレビにも映るので何とか埋めたい」という2500席を陣取る応援団そのものの結成だ。ここにも障壁があった。

