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甲子園出場に大金が…“ドタバタ寄付金集め”ウラ側「高知農業の卒業生に手紙を」校長明かす「応援グッズで1000万円」「テレビ映るので…」現場の声
posted2026/04/04 11:00
今春の甲子園、21世紀枠で初めて出場した高知農業高校
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井上幸太Kota Inoue
photograph by
Kota Inoue
春の甲子園開幕を一カ月後に控えた2月末。
高知農業の校長室の一角にあるテーブルには、センバツ出場を伝える、複数の全国紙の号外が積まれていた。ある紙は右手で握りこぶしを作っての集合写真、もう一紙はランニングの様子を収めた一枚をメインに据えている。
2年生は修学旅行中…出場決定の瞬間
違和感があった。この手の号外は、帽子を天に放り投げたり、カメラに向かって飛び跳ねるように駆け出すシーンで、喜びの爆発を表現するのが一般的だ。それにしては、どこか表情がおとなしい。
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「『決まったら号外を出しますよ』ということで、前もって撮影されたものですね」
高知農の校長、塩田雅彦が苦笑しながら説明する。
1月30日、センバツ出場校選考委員会で21世紀枠出場が決まった瞬間――。最上級生である当時の2年生は修学旅行に出かけていた。各紙は苦肉の策として、事前に撮影した写真を使ったわけだ。
思えばこれが、創部初の甲子園出場に伴う、怒涛の日々のはじまりでもあった。
出場まで1カ月半…ドタバタ劇がはじまった
学校が、にわかに騒がしくなったのは、昨秋の高知大会を終えたころだ。県8強入りし、準々決勝では2-3で敗れたものの、県内の雄である明徳義塾に延長10回タイブレークの熱戦を展開。塩田も「結果を聞いて、『おっ』となりました」と振り返る。
11月には、21世紀枠出場の第一関門である、高知県推薦校に選出。翌月には、四国地区推薦校として、最終候補9校に名を連ねた。この時点で、監督の下坂充洋は塩田に耳打ちしている。
「出場が決まってから動き出しても、おそらく間に合いません。今から準備しましょう」
春のセンバツは、出場校決定から開幕まで、約1カ月半の間しかない。何もかもが初めての高知農にとっては、準備期間はいくらあっても足りない。


