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「男子はイリア、イリア、イリア…彼一色でした」高い期待のウラで誹謗中傷も…老舗メディア編集長に聞く“スポーツ大国”アメリカが報じたミラノ五輪
posted2026/02/21 17:02
アメリカ国内でも大きな話題を呼んでいた男子フィギュアのイリア・マリニン。圧倒的な金メダル候補だったが、8位とメダルを逃す事態に
text by

一野洋Hiroshi Ichino
photograph by
Asami Enomoto / JMPA
ミラノ・コルティナ冬季五輪で、日本は冬季五輪史上最多メダルを更新する勢いを見せている。
連日の快挙が報じられ、テレビもネットも五輪のニュースがあふれている。競技のハイライトは繰り返し流れ、SNSでは日本勢の演技や滑走が瞬く間に拡散される。特に後半の日程では国全体が、同じ大会を共有している感覚がある。
そんな熱気の中で、ふと疑問が浮かんだ。スポーツ大国アメリカでは、今大会はどれほどの存在感を持っているのだろうか?
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実は筆者は2006年当時、アメリカに住んでいた。当時開催されていたのは今回と同じイタリアが舞台のトリノ冬季五輪。荒川静香が女子フィギュアスケートで金メダルを獲得した日、日本では未明にもかかわらず歓声が上がり、朝刊の1面は当然のようにその快挙を伝えたはずだ。
一方で、アメリカの空気は静かだった。
朝のニュース番組では結果が紹介され、競技映像も流れた。しかし、それが街の会話の中心になることはなかった。荒川に次ぐ銀メダルにはアメリカのサーシャ・コーエンが入っていたのだが、職場で交わされる話題はNBAやNFLのオフシーズン動向が中心で、五輪は「やっている大会」ではあっても「社会を包むイベント」ではなかった。
アメリカ国内での五輪の「立ち位置」は?
もちろん、他国の金メダルが国内と同じ熱量を生まないのは当然だ。ただ、当時感じたのは、五輪そのものの存在感の薄さだった。
その印象をさらに強めたのが、前回の北京2022だった。北京大会のプライムタイム平均視聴者数は約1160万人。これは近年の冬季五輪としては歴史的な低水準だった。2014年ソチ大会が約2100万人台、2018年平昌大会が約1980万人だったことを考えれば、北京は明確な落ち込みだった。
最大の要因は時差だ。多くの競技がアメリカ時間の深夜から早朝に行われ、ライブ視聴が難しかった。結果が先にSNSで拡散される中で、夜に編集された映像を見るという従来型の視聴モデルは機能しづらくなっていた。

