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「男子はイリア、イリア、イリア…彼一色でした」高い期待のウラで誹謗中傷も…老舗メディア編集長に聞く“スポーツ大国”アメリカが報じたミラノ五輪
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一野洋Hiroshi Ichino
photograph byAsami Enomoto / JMPA
posted2026/02/21 17:02
アメリカ国内でも大きな話題を呼んでいた男子フィギュアのイリア・マリニン。圧倒的な金メダル候補だったが、8位とメダルを逃す事態に
さらに、視聴環境そのものも変わっていた。若年層はテレビから離れ、ハイライトはスマートフォンで消費する。五輪はかつてのように“夜の国民的番組”としての地位を保てなくなっていた。北京大会の低視聴率を受け、米メディアでは「冬季五輪は転換点にあるのではないか」という論調も見られた。
その流れの中で迎えたミラノ・コルティナ大会は、少なくとも数字の上では反転を示している。中継するNBCによれば、開会式はNBCとストリーミングサービス「Peacock」合算で平均2140万人を記録。2022年の北京五輪と比べて34%上昇。大会序盤の平均視聴者数も2600万人台に達し、北京から大きく回復した。
イタリアは米国東部と6時間差。北京と比べれば時差の問題は少ない。主要競技を比較的見やすい時間帯に追えるのも大きいのだろうが、加えてNBCはPeacockによる配信体制を拡充し、有料ストリーミングを軸に“見たい競技を自分で選べる”環境を整えた。
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かつてのように夜に編集して見せるのではなく、すべてをリアルタイムで流す。五輪は「全米が同じ番組を見るイベント」から、「それぞれが自分で競技を選ぶ巨大コンテンツ」へと姿を変えている。
アメリカの冬季五輪人気…老舗メディア編集長に聞く
数字の回復について、アメリカで140年の歴史を誇る老舗メディア『スポーティング・ニュース』編集長のベンソン・テイラー氏は次のように分析する。
「夏季オリンピックは毎回、本当に人気が高いんです。一方で冬季五輪は人気はあるけど、夏ほどではありません。4年前の中国開催ではそこまで関心が高くなかった印象でしたが、今年はライブで見やすい時間帯だったこともあって、アメリカの視聴者の関心はかなり高いと感じています。(大手放送局である)NBCもスヌープ・ドッグやマーサ・スチュワート、スタンリー・トゥッチを起用して、ライト層をうまく取り込んでいると思います」
実際、今回のNBCの放送はスポーツ中継という枠を超え、エンターテインメント性を強く押し出している。競技だけでなく“見る理由”を増やす工夫が、視聴回復の一因になっていると言えそうだ。
