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「春日がモデルのキャラは…いません(笑)」オードリー若林が明かした初小説の“執筆ウラ話”「『みんなで勝つ』という青春モノにはならないように…」
text by

一野洋Hiroshi Ichino
photograph byHiroshi Ichino
posted2026/02/22 11:01
2月にサンフランシスコで行われた第60回スーパーボウルの取材に訪れたオードリーの2人
同様の感覚を若林もかつて目にしたスーパーボウルの光景の中で見たという。
2017年の第51回大会、アトランタ・ファルコンズを相手に25点差を追うニューイングランド・ペイトリオッツのベンチ。
「第3クオーターで25点差がついたときに、(QBのトム・)ブレイディを(放送ブースから)双眼鏡で見たんですよ。そしたら、黙々と一人でずっとタブレットを見ていた。その姿を見て『まだ勝てると思っているの?』って思ったんです」
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そこに見えたのは、未来でも過去でもなく、「次の1プレー」にだけ集中するレジェンドの姿だった。
「めちゃくちゃ負けているけど、それを考えてもしょうがない。過去も、未来も捨てて1プレーを選んでいく。その姿が好きなんですよね。次にやる1プレーがすべて。それが人生と似ている気がして」
「『みんなで勝ちたい!』という青春モノにならないように」
一方で、高校アメフトには別のリアリティもあると若林はいう。
「高校だとNFLと違ってみんながみんな勝ちたいと思ってない現実があるんですよね。大学進学の面接の時のためだけにやっているやつとかもいるし」
だからこそ、『青天』は全員が同じ目標に向かう青春物語にはしなかった。
「『みんなで勝ちたい!』という青春モノにならないようにするのは、めちゃくちゃ気をつけました」
それでも、勝ち目がなくても体をぶつける選手の姿には、プロもアマも関係ない熱がある。
スーパーボウルという世界最高峰の現場にいても、若林の視線が向くのは、高校のグラウンドで交錯した、あの一瞬の熱だったのかもしれない。

