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「りくりゅう結成7年間で初めて見た…」号泣した木原龍一が“失敗のトラウマ”を消した瞬間「30分の仮眠を…」気丈な三浦璃来、記者が見た“大逆転ウラ側”
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野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto / JMPA
posted2026/02/18 17:23
木原龍一33歳と三浦璃来24歳。涙のミスから24時間、トラウマを消して大逆転するまで
0時半に取材終了の前夜から…24時間
インタビューが終わったのは、深夜0時半。翌日夜までの短期間で、どう気持ちを整えるかに勝負がかかっていた。しかし、木原の気持ちは再び落ちていった。
「夜は悔しくて眠れなくて。8時間確保はしていたのですが、睡眠の質が良くない状態でした。朝になってもずっと泣いている状態でした」
夕方に会場に着いて、公式練習に向けてウォーミングアップを始めても、木原は泣き続けていた。
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「なぜか涙が止まらなくて。経験したことのない感情でした」(木原)
一方の三浦はむしろ気持ちが落ち着いていった。
「昨日の失敗はもう昨日で終わったこと。私自身は『今日はイチからスタートだ』と思っていました。龍一君が泣きすぎていたので『私がしっかりしないといけないな』と感じていました」
泣き続ける木原に、三浦が「今はどういう気持ちで泣いてるの?」と聞くと、木原は泣きながら「分からない」という。「じゃあ、赤ちゃんだね」と三浦が言って、気持ちを和ませる。木原の心が一瞬開いたところを見計らって、三浦が言った。
「まだ終わってないよ。自分たちが積み重ねてきたものがあるから絶対大丈夫」
「その声が、心に響きました」(木原)
少し冷静になった木原は、試合までの待ち時間、人気のない場所を見つけて昼寝をすることにした。
「明らかに体も動いてないし、頭も冷めてない。普段の試合では寝ないんですけど、今日は『30分だけ寝るから起こしてね』と言って寝ました」
仮眠のあと、洗面所で顔を洗い、自らに言い聞かせる。
「もう一回戦うんだ。ここでオリンピックを諦めていいわけがない。絶対自分たちで攻め切るんだ」
自分の気持ちが切り替わったことを再確認すると、三浦に言った。
「朝からずっと泣いてたので、試合前に『もうしっかりメンタルを立て直した、大丈夫』っていうのを伝えました」
時が止まった…完璧な演技
そして迎えた本番。4年前のフリーを思い出す。4年前は、落ち込んでいた三浦に対して木原が「フリーを滑らせてくれてありがとう」と声をかけたのだ。
「私は今日、龍一くんのために滑るよ」
「じゃあ逆に、僕も璃来ちゃんのために滑る。お互いのために滑ろう」
2人の心が繋がった。もう怖いものはなかった。


