フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER

「りくりゅう結成7年間で初めて見た…」号泣した木原龍一が“失敗のトラウマ”を消した瞬間「30分の仮眠を…」気丈な三浦璃来、記者が見た“大逆転ウラ側” 

text by

野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

PROFILE

photograph byAsami Enomoto / JMPA

posted2026/02/18 17:23

「りくりゅう結成7年間で初めて見た…」号泣した木原龍一が“失敗のトラウマ”を消した瞬間「30分の仮眠を…」気丈な三浦璃来、記者が見た“大逆転ウラ側”<Number Web> photograph by Asami Enomoto / JMPA

木原龍一33歳と三浦璃来24歳。涙のミスから24時間、トラウマを消して大逆転するまで

「私たちの気分転換はゲーム。リラックスできるし、スケートのことを考えない時間って必要なんです」(三浦)

 精神面の対策だけではない。体調面でも、団体戦後はいったん休んだあと、ハードな練習をし、そこから軽めの練習に切り替えて調子を上げるという、ピーキングを完璧にこなした。

結成7年、見たことのないミスだった

 迎えた2月15日の個人戦ショート。昨季から継続の「Paint It Black」を、自信に満ちた目で滑り始める。3回転ツイスト、3回転トウループを着実に決めると、いつも通りリフトを上げた。2人が左手だけで支えあい、勢い良く移動していく。体勢を変えてお互いの右手を繋ごうとした瞬間、三浦の身体が支えになっていた左手からずり落ちた。とっさに木原は肩で受け止め、リフトとして成立させる。2人が結成してから7年。見たことのないミスだった。

ADVERTISEMENT

「手のグリップが合わないなとは思っていました」(木原)

 すぐに気持ちを強く持ち直すと、三浦は次の3回転スロールッツを意地で降りた。

「本当にもう失敗できない、という気持ちでした。そういう場面って、今までたくさんありましたし、崩れることなく、自分たちのメンタルの強さを発揮できたと思います」

 演技を終えると、責任を感じ、そのままうずくまった木原。三浦が心配そうに寄り添いながらリンクサイドへと戻った。ブルーノ・マルコットコーチは「It’s not over(まだ終わっていない)」と言って木原を抱きしめた。得点は73.11点。自己ベストより10点近く低い得点に、木原は首を横に振った。

記者の質問に「勇気の出る言葉を…」

 インタビューに現れた2人は、表情が異なっていた。

「リフトっていうのは、すべて2人の阿吽の呼吸で成り立っているものなので、少しずれてしまうと今回のようになってしまいます。まぁ運も悪かったなって思います。ミスがあったからこそ、明日はもっと丁寧に、気持ちも切り替えて挑んでいきたいです」

 そう気丈に振る舞う三浦に対して、木原は話している(そば)からため息が漏れてしまう。

「あまり良いミスじゃなかったので。仕方ないです。まだ試合終わってないので。うーん。はああ。なんでああなっちゃったのかちょっと分からないです」

 落ち込む木原に、記者から「トップとの6.9点差は、団体戦のような演技をすれば逆転可能ではないか」と質問が出ると、木原の声にわずかに力が戻った。

「勇気の出る言葉をありがとうございます。今、気持ちを切り替えることができました。調子が悪いわけじゃないので、明日は必ずここでいつもの“りくりゅう”という感じでお話しできるように戻ってくるので待っててください」

【次ページ】 0時半に取材終了の前夜から…24時間

BACK 1 2 3 4 NEXT
#りくりゅう
#三浦璃来
#木原龍一
#ミラノ・コルティナ五輪
#オリンピック・パラリンピック

フィギュアスケートの前後の記事

ページトップ