オリンピックPRESSBACK NUMBER
「彼女が代表するのは“アイリーン・グー株式会社”だけだ」年収は約35億円…米国生まれ→中国代表の22歳はナゼ論争に? 米メディア編集長の見解は…
text by

一野洋Hiroshi Ichino
photograph byGetty Images
posted2026/02/17 17:02
ミラノ五輪でも活躍を見せるアメリカ生まれの中国選手、アイリーン・グー(谷愛凌)。彼女の決断が議論を生むワケとは…?
アメリカで140年続く老舗メディア『スポーティング・ニュース』で編集長を務めるベンソン・テイラー氏は、アメリカでの空気をこう語る。
「今大会に関して言えば、アイリーンの問題はまだアメリカ国内ではそれほど大きな話題にはなっていません。他に取り上げるべきアメリカのスター選手がたくさんいるからです。例えばホッケーやフィギュアスケート、カーリングの方が大きく扱われていますね。屋外競技ではリンゼイ・ボンやミカエラ・シフリン(ともにアルペンスキー)、クロエ・キム(スノーボード)といった選手に注目が集まっています」
選手の“国籍変更”は…「クールなこと」?
多くの複数ルーツを持つ選手がいるアメリカでは、選手の国籍問題がファンやメディアの話題に上がることは少なくない。だが、その受け止められ方は「競技の力関係によって変わる」という。
ADVERTISEMENT
「NBAやMLBのような他のスポーツでも似たようなケースは時々見られます。ただ、そういった競技のファンは国籍問題が起こると、それを面白がったり、選手のルーツを祝福して“クールなこと”として受け止めたりする傾向があります。これはアメリカが野球やバスケットボール競技で長く優位に立ってきたことも関係していると思います」
実際、野球の国際大会ではその傾向が顕著だ。
ロサンゼルス・ドジャースのフレディ・フリーマンは、カリフォルニア生まれのアメリカ人だが、両親がカナダ出身だったことから過去2度(2017年、2023年)のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではカナダ代表として出場している。その選択はアメリカ国内で批判されることはほとんどなく、「家族のルーツを尊重した自然な決断」と受け止められた。
WBCの2023年大会では、セントルイス・カージナルスのラーズ・ヌートバーが、母のルーツをたどって日本代表として出場した。日本ではムードメーカーとして人気を集め、優勝にも貢献。その姿は米メディアでも、日本で人気を集めた存在として好意的に報じられ、代表選択をめぐる大きな批判はほとんど見られなかった。
バスケットボールでも同じ光景は珍しくない。アメリカ生まれの選手が、ルーツをたどって別の国の代表として国際大会の舞台に立つ。多くの場合、それは「裏切り」ではなく、「ルーツを大切にした自然な選択」として受け止められる。

