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「返事はいい内容ではなかった」五輪前の大ケガ、心配するショーン・ホワイトに平野歩夢が返した“メッセージの中身”…元王者が語ってきた“アユム・ヒラノ像”
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNanae Suzuki/JMPA
posted2026/02/16 06:05
ハーフパイプ決勝を終え、平野歩夢と会話するレジェンド、ショーン・ホワイト
平野歩夢14歳に「ほんとうに誇りに思います」
表彰台の真ん中にいたのはホワイト。その心に、平野という存在が強く焼き付いた日でもあった。
「自分が初めてX GAMESに出たときは、膝が震えて、まともに滑ることができませんでした。でも彼は、自分のランを完璧に行いました。ほんとうに誇りに思います」
ホワイトも、子どもの頃からはるか年長の選手に混ざって競ってきた経歴を持つ。それをなぞるように出てきた、そしてもてる力を物おじせず出し切った若きスノーボーダーは、だから「誇りに思う」存在であったのかもしれない。
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加えて、「予感」があった。
「彼には何か特別なものがあります。それはただの技術というだけじゃなく、何かに突き動かされているような滑りです」
「彼がいるから、僕も進化を止めずにいられます」
初めてオリンピックで相まみえたのは、2014年ソチ五輪。開幕を前に、ホワイトは成長著しい平野について、このように話している。
「若くてハングリーな選手が出てくるのは、このスポーツにとって最高の栄養剤です。彼がいるからこそ、僕も進化を止めずにいられます」
この大会で平野は銀メダルを獲得。だがホワイトは、3連覇を逃したばかりか、表彰台にも上がれずに終わった。
迎えた平昌五輪は、ホワイトにとってリベンジを期す場所であった。そのとき、眼前に立ちはだかったのは平野だった。
試合は劇的な展開で進む。
平野は2本目で、この試合のために準備し、すでに間近の国際大会で成功させていたFSダブルコーク1440、キャブダブルコーク1440の連続4回転をオリンピックの大舞台で初めて披露、トップに立つ。
そのまま平野1位で迎えた3本目、最終滑走のホワイトは、FSダブルコーク1440、キャブダブルコーク1440を決め、逆転で金メダル。最後の最後に成功させたそれは、試合で初めて披露したものであり、そして成功させたのである。

