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オリンピックへの道BACK NUMBER
中国選手の進路妨害→失格「意図的なものではない」かは判断できない…スピードスケート金メダル候補を襲った“悲劇の論点”「位置関係を見れば、失格は妥当」
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2026/02/15 11:00
2月11日のスピードスケート男子100m。レース後、廉子文に詰め寄るベンネマルス
「僕が優先権を持っていた」
ベンネマルスは、詳細に話をしている。
「(接触の場面は)僕が優先権を持っていたし、あの交差ポイントは僕のものです」
接触により、ブレードは破損したともいう。それでも懸命にゴールを目指したものの、結果を容易に受け入れることはできなかった。
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「メダルは100%だったのに」
それが強がりからくるものではなく、目の前にあったはずの現実であったことが十分納得いくだけのタイムを、その時点までは記録していた。
そもそも、この妨害と失格とは何だったのか。
中国選手の失格が「妥当」である理由
集団で競うマススタート等は別として、基本、スピードスケートは2人ひと組でレースが行われる。その際、内側からスタートする選手と外側からスタートする選手とがいる。
そのまま同じコースを滑っていれば距離に不公平が生じるから、「交差区域」(クロッシングストレート)で内側と外側のレーンを交換しなければならない。アウトコースの選手はインコースに、インコースの選手はアウトコースに移ることになる。
当然、その場面で2人の選手が接近することはままある。そのとき、優先権はアウトコースからインコースに移る選手にあり、インコースから出る選手はアウトコースの選手の進路を妨げてはいけないルールになっている。
両選手の力量差などがあり、もしインコースの選手が大きくリードしていれば、アウトコースの選手の進路を妨害することにならないから、アウトコースの選手を待たずにアウトコースに変更して問題はない。
また、両者が並んでいる場合はアウトコースの選手に優先権がある。
今回の騒動となったレースをあらためて振り返ってみると、両者の位置関係をたどっていけば、ベンネマルスの言うように、ベンネマルスにクロッシングストレートでの優先権があり、廉子文が妨害による失格となったのは妥当であったと言える。


