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平野歩夢が語っていた“競技への恐怖心”「自分のやっていることが怖い」7m落下の大ケガから復活“本当のスゴさ”…ミラノ五輪で最後に挑んだ“特別なエア”
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNanae Suzuki/JMPA
posted2026/02/15 06:02
直前の大ケガを乗り越え、ミラノ五輪の舞台に立った平野歩夢。競技後に笑顔を浮かべていた
命懸けでも挑む。その根幹にあるのは、一つは「常にチャレンジしていなければならない」という挑戦心だ。
「常に上にチャレンジしていなければ認められないような世界に生きているから、命懸けでも、覚悟を決めてやるんです」
平野が作った“史上初”が、当たり前になっていく
もう一つは、成し遂げたい未来があるからだ。
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「さらなる新しい、人が届かないような武器とともに自分の滑りを表現できれば。スノーボードをやっていて本当によかった、と最後に思える結果を出したいし、自分でも『夢か』と思えるような、満足のいく最後を迎えたい。それを得るためには、やっぱ、人と同じような考え方や技では無理。命を懸けて、自分の人生を懸けてやっていきたい」
だから挑み続けてきた。
その姿勢は平野自身を高みへと引き上げるとともに、競技そのものにも波及した。
金メダルを獲得した北京五輪では、「フロントサイドトリプルコーク1440」を成功させた。自身でその前の大会で成功させていたのに続き、オリンピックで史上初の成功者となった。
そのとき平野しか使わなかったトリックは、今大会では他の選手たちにも見られた。競技のレベルを引き上げてきたことも、功績だ。
平野はすでに、前を向いていた
今大会で見せた、大きな困難に直面しても乗り越えた姿、最後まで自分を引き上げるかのように挑戦する姿もまた、これからのスノーボード界に余韻として影響を与え、何かを残し続けるだろう。
一つの挑戦を全うした平野は言う。
「ここに立てて、自分がこの状態でできるマックスに向き合ってチャレンジできたっていうのは、すごいこれからの自分にもつながっていくと思います」
この先、平野はどのような姿を見せるだろうか。それがいかなるものであれ、挑戦する魂に、きっと変わることはない。


