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「30分で直して」と言われることも? 絶望のケガからスーツ職人に…ジャンプ日本代表を支える28歳の職人が驚かされたトップ選手「異次元の超感覚」秘話
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雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by(L)Kiichi Mastumoto / (R)JMPA
posted2026/02/13 17:01
ミズノでジャンプ競技のスーツ製作に携わる尾形優也(左)。“レジェンド”葛西紀明らトップ選手の「超感覚」に驚かされることもあるという
スーツ職人としての自負を持つ一方で、トップ選手の鋭敏な感覚や知見に驚かされることももちろんある。
数年前、これも葛西から「スーツの進みがちょっと悪い」と相談を受けたことがあった。尾形がどうしようかとその場で思案していると、葛西の方から「ここをこう縫ってほしい。そうしたら流れがよくなるから」と指示があった。
「本当かな」と半信半疑のまま、指示通りに縫って渡すと、葛西は翌日にたちまち大ジャンプを見せていた。
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「言ったべ」と笑顔で戻ってきた葛西は、「もう何年もやって、これ知ってんだ。いや、完璧だった」と得意満面だったという。尾形はレジェンドの経験に驚かされた。
「どこをどうしたかは言えないんですけど、本当にちょっとのことなんです。縫いしろとしても1cmぐらいしか縫ってないですよ。そういう方法があると言われたら、確かに腑に落ちるところはあります。でも、それを自分で考えだせるかと言ったら、簡単には辿り着けない。そこは葛西さんの経験に教えてもらいました」
規則が厳しいジャンプスーツ…でも創意工夫の余地はある!
生地の空気の透過量はルールによって決められているため変わりようがない。葛西の言う「スーツの進み」というのは、形状の違いによる空気の流れ、空力特性の変化のことなのだろう。
スーツを構成するパーツの数やその縫い合わせ方までルールで決められていて、創意工夫をする余地はとてもないように見えるのだが、そうではないのだ。
ルールブックを開けば、透過量については《スポンサーロゴやデザインロゴは透過量規制の対象外とする》という一文がある。そういうところにも目をつける。

