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「マンCとは予算が大違いなので」欧州クラブ経営の日本人に聞く“J2と何が違う?”「オランダで得られない日本マネーです、我々は」
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2026/02/02 11:04
東京大学を卒業し、長年日本サッカーに携わった人物に聞く「オランダ2部クラブ経営参画」の背景とは
「両方ですかね。それ自体が目的になっている部分もありますし、予算規模を考えても、それ以外の方法がないのもあります。ただ、これはJリーグでもどこでもそうだと思いますが――若い選手だけだと、リーグ戦で勝ち続けるのは難しい。うまく行かなくなったときに戻る場所がなく、中堅とベテランが強いキャラクターを持って、若手を引っ張っていく状況にはなかなかならないんです。
それから日本では“ストライカーが育たないのはエゴイストが少ないから”という言い方になりがちですが、こちらではストライカーに限らず選手はみな個人事業主です。チームワークが大切というのも、『基本的にチームワークがない』のが前提なのでそう言うわけです。日本だと元々チームワークがある上で、さらに求めていく。その意味でも、欠落を埋められる中堅がいないと、リーグ戦で上を目指せない。もっと理想形の編成があるのだろうと思いながら、今のチームを見ています」
我々もオランダ国内では得られない日本マネーです
――1部と2部のサッカーに違いはありますか?
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「ある意味、日本の方が最先端のトレンドを追っているかもしれません。オランダはほとんどが4-3-3です。これこそが自分たちのサッカー、フットボールだという自負なのでしょう。ヨハン・クライフまで遡る矜持は凄く感じられます。
1部と2部の違いでいえば、1部には降格があります。とにかく残留するために、と努力はしますが、逆に降格を受け入れる心情がそもそもあります。さらに自分たちの予算規模を、どのステークホルダーも理解している。クラブや街の規模を考えると、優勝するのは3つのビッグクラブ(アヤックス、フェイエノールト、PSV)、それに次ぐ規模のクラブに限られている。誰もがそうしたヒエラルキーを理解している。一方で海外の投資家が入ってきたフィテッセ・アーネムなど、それまでの立ち位置からズレたことで、財政的に厳しい状態を迎えている。強化だけではない資金も必要というのが切実にあって、その折り合いをどうつけていくのか。
我々もオランダ国内では得られない日本マネーです。オランダのフットボールの歴史を尊重しながら、でも彼らと同じことをただやっていては、というのもあるので、健全に違いを見せながら中長期的にやっていきたいなと思っています」
――本当にいろいろお話しいただきありがとうございました。〈経営の真相を語った裏話は第1回からつづきます〉

