- #1
- #2
スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「青学より中央を意識していましたが…」箱根駅伝「優勝候補の一角」だった早大監督が語る“黒田朝日という想定外”「4区までであと30秒早ければ」
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph byJMPA
posted2026/01/15 11:05
箱根山中で青学大・黒田朝日と競り合う早大・工藤慎作。黒田の強さは織り込み済みだったこともあり、花田勝彦監督は「4区までにあと30秒あれば」と悔やんだ
「往路に関していえば、意識していたのは青学ではなく、中央でした。なので、後ろは見ていなかったんですね。とにかく、中央を逃がしてはいけないとレース前から考えていましたが、往路の中央は良かったですね。2区の溜池(一太)君が、私の想定よりいいタイムで走ったので、ウチの山口智規が捉えきれなかった。それから3区で区間賞を取った本間(颯)君が素晴らしい走りで引き離され、4区の岡田(開成)君も区間2位。このふたりは力がありました。中央を逃がしてしまったことで、工藤に負担がかかってしまいました」
花田監督としては、1区から4区のトータルであと30秒稼げていれば、工藤も前半を抑え気味に入り、余裕をもって後半を迎えられたかもしれないという。
ファンも早大優勝を確信も…背後から来た影
それでも山上り3度目の工藤は中央を捉え、先頭に立った。往路で久しぶりの早稲田の優勝を誰もが確信していたことだろう――。ところが、迫ってきた選手がいた。
ADVERTISEMENT
青山学院大学の黒田朝日である。
「黒田君が走ると聞いた時点で、1時間8分を切って、1時間7分台に突入するのではないかとは考えていました。工藤でも、1分から1分半は詰められるかもしれないと。ただ、あれほど黒田君が強いとは想像していませんでした」
3.7km地点の函嶺洞門では工藤の方が7秒ほど黒田より良かった。これは突っ込んで入ったことも影響していただろう。ところが上りが本格化してから、その差はみるみる縮まっていく。
「7kmの大平台では1分57秒差があったんですが、11.7km地点の小涌園前では1分2秒まで詰められていました。工藤は下りが速いのでギリギリ逃げ切れるとは思いつつ、下手をすると追いつかれるかもしれない――と不安がよぎりました」

