濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
朝倉未来“悲劇のTKO負け”を生んだ「34発の壮絶パウンド」…レフェリーストップは“遅すぎた”のか? 怪物シェイドゥラエフが打ち砕いた「RIZIN大晦日の祈り」
text by

橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2026/01/01 17:01
RIZINフェザー級王座戦、王者シェイドゥラエフの猛攻を受ける朝倉未来
待ち受けていた“残酷な現実”
言うまでもなく、朝倉未来は日本格闘技の歴史における最大の成功者の1人だ。“不良格闘技”THE OUTSIDERから成り上がり、YouTuberとしても人気を博した。プロデュースする“1分間格闘技”BreakingDownも(よくも悪くも)常に話題になっている。知名度も金銭も望み通り。なのに唯一、RIZINのベルトだけが手に入らない。
単なる実力不足ではない。未来は今回、2連勝で挑戦権を掴んだが、勝った相手は鈴木千裕とクレベル・コイケ。いずれもチャンピオン経験者だ。初代王者決定戦で敗れた斎藤裕にもリベンジしている。榊原も言っていたように、未来にはタイミングしだいでベルトを巻いていてもおかしくない実力がある。
だが今度こそというタイミングで、ベルトを巻いていたのはシェイドゥラエフという傑物だった。未来としてはベルト以上にシェイドゥラエフを倒すことに価値を感じてもいた。公開計量時、それに試合開始のゴングとともに巻き起こった未来コールは、ファンの祈りのようにも聞こえた。
ADVERTISEMENT
しかしシェイドゥラエフは、そんな祈りも打ち砕いた。ただ残酷な現実がそこにあった(それはシェイドゥラエフにとっての美しいサクセスストーリーでもあるのだが)。朝倉未来が持つ格闘家としての求心力、その一端は“悲劇性”にあるのかもしれないとさえ感じさせられた。
「私は誰とでも闘います」
思い出したのはRIZINの前身であるPRIDEだ。今大会のゲストとして来日したミルコ・クロコップとアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラの全盛期。世界中から集まる強豪外国人に、日本人は負け続けた。ミルコにしても、ノゲイラやエメリヤーエンコ・ヒョードルに敗れる屈辱を味わっている。
「だから私は“そうはいかないんだな……”に免疫があるんです」
榊原は言う。ショックを受けているであろう若い世代の未来ファンにも前を向いてほしいと。
2026年は“打倒シェイドゥラエフ”がRIZINの大きな軸になる。日本人に名乗りをあげてほしいが、海外からもどんどん実力者を呼びたいと榊原。一方でシェイドゥラエフはこんな展望を語った。
「私は誰とでも闘います。日本のファンが増えていることは私のモチベーションになっている。来年はできれば毎月、試合がしたいですね」
12カ月連続でシェイドゥラエフの対戦相手を用意するのは、さすがに至難の業だろう。いや、仮にそれが実現したとして……次の大晦日、シェイドゥラエフが連勝を28に伸ばしていても決して不思議ではない。


