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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「ナカタニとの試合を今すぐ見たい気持ちは薄れた」井上尚弥vsピカソ戦を見た英国記者の言葉の真意は? 「イノウエにはまずフェザー級に上げて欲しい」
text by

一野洋Hiroshi Ichino
photograph byNaoki Fukuda
posted2025/12/31 12:21
期待が集まっていた中谷潤人との試合にも影響を与えた今回の試合。英国記者のリアル評は?
だからこそ、ファレル氏の希望はこうだ。
「私の希望は、イノウエがまずフェザー級へ上げることだ。そこには攻略可能な王者がいる。ナカタニ戦はいつでもできるし、ナカタニには今回の内容を払拭する時間も必要だ」
ウシクには「まだまだ全然及ばない」
ピカソ戦後、会場にはWBA&WBC&IBF世界ヘビー級統一王者で、パウンド・フォー・パウンド(PFP)1位オレクサンドル・ウシクの姿もあった。PFP論争を象徴する存在を前に、井上はこう語っている。
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「ウシク選手が見に来てくれたんですけど、こんなんじゃまだまだ全然及ばない。もっともっと腕を磨いて、1位にふさわしい選手になりたい」
年間4試合を戦い抜き、「満足しているけど疲れた」と語りながらも、井上の視線はすでに次を向いている。WBA&WBC&WBO世界スーパーフライ級統一王者ジェシー・ロドリゲスについても「彼がスーパーバンタム級まで上がってくるなら、戦ってみたい」と選択肢を狭めない。
“期待通り”では足りない。“勝った”だけでは満足しない。それは傲慢さではなく、到達点があまりにも高くなったがゆえの孤独だ。
英国記者の目に映ったピカソ戦は、苦戦でも停滞でもない。それは、偉大さが日常になった王者が、自らの基準と戦い続ける現在地を示す一戦だった。

