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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「中谷が負けていたよね?」元世界王者が見たリヤドの衝撃…中谷潤人苦戦の要因は?「はっきり言うと、中谷vs井上戦の期待値は下がった」
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/12/31 11:02
不運とはいえ、今まで見たことのないほど瞼を腫らし、判定も見方によっては敗れていても不思議はなかったという中谷の苦戦のわけは?
最初、エルナンデスは弱く見えたが
「これはどこかのラウンドで倒すな、と思いました。最初、エルナンデスは弱く見えたので」
ただ、2回が始まると、伊藤は首をかしげる。中谷が得意とするオーバーハンド気味の左カウンターがまともに入っても、がっちりした体の相手はビクともしなかったのだ。そして、明らかに展開が変わったのは3回から。頑強なファイターはテンポアップし、積極的にプレスをかけてきた。
「1回、2回は潤人へのリスペクトがあり、警戒していたんだと思います。それ以降は多少もらっても問題ないと判断したのか、ガードを上げながらどんどん前へ出てきました。デコでパンチを受ける、うまさもありましたしね。バンタム級までであれば、潤人のアッパーが入れば、相手は止まっていたんですが……」
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エルナンデスがタフなのか。それとも“階級の壁”なのか——。2020年11月に50.80kg以下のフライ級で初めて世界王座を獲得し、わずか5年で3階級上となる55.34kg以下のスーパーバンタム級にチャレンジ。バンタム級への転向からは約6カ月である。リング上で見る引き締まった体は仕上がっているように見えたものの、ラウンドが進むごとに物足りなさを感じた。
たかが2kg、されど2kg
「相手を止める力強さはなかったと思います。潤人の一発でエルナンデスが倒れる感じはしなかったので。駆け足でスーパーバンタムまで上げてきているので、アジャストするまでには、もう少し時間が必要なのかもしれません。まだ転級1戦目。バンタム級からはたかが2kg増えただけですが、されど2kgなんです。僕も経験があるから分かりますけど、階級が上がれば、当然相手の耐久力も上がります」

