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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥が「普通にぶっ倒すと思ったが」元世界王者も予想外だったピカソ戦の“誤算”「それでも、中谷潤人とのドリームマッチは見たい」
posted2025/12/31 11:03
序盤から試合内容、技術面では終始圧倒していた井上だが、倒しきることができないままラウンドが進んでいった
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
伊藤はモンスターの派手なKO劇を予想していた。スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥も試合前から「今回は倒し切る」と宣言しており、難しいミッションにも思えなかった。対戦相手となった、同級WBC2位につけるアラン・ピカソ(メキシコ)のこれまでの試合を見ても、手を焼く要素はどこにも見当たらなかった。
普通に倒すと思っていたが
「普通にぶっ倒すと思っていたのですが、あれよ、あれよ、とラウンドが進んでいきました。意外にパワーで押し潰せないんだなって」
2回からは強烈な左ボディブローを打ち込み、3回にはガードの上から力強いフックを叩いた。鼻先でかわすスウェーバック、左ジャブを上下に打ち分ける技術の高さは垣間見えたが、ダメージブローはほとんどなかった。
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「相手が嫌がる素振りを見せれば、井上選手ももっと行ったと思いますが、序盤からそういうシーンはあまりなくて」
5回、6回はプレスを強め、強烈なボディブローをいくつか叩き込んだが、展開は変わらなかった。終盤からは落ち着いて、組み立てながら試合を支配。むしろ、強引にこじ開けるような場面はほとんどなく、要所で見せた中間距離の攻防技術が光った。
さすがの試合展開も、井上自身も反省
「1ポイントも譲らないような試合展開はさすが。最強王者に挑むこともあり、120%で仕上げてきたピカソを圧倒したわけですから。僕はフルマーク(ジャッジの判定は120-108、119-109、117-111)で井上選手でした」
玄人受けするハイレベルなテクニックは披露したが、豪快なKO勝利を期待していたファンがいたのも事実だろう。井上自身も「きょうは良くなかった」と反省の弁を口にしていた。

