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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「中谷が負けていたよね?」元世界王者が見たリヤドの衝撃…中谷潤人苦戦の要因は?「はっきり言うと、中谷vs井上戦の期待値は下がった」
posted2025/12/31 11:02
不運とはいえ、今まで見たことのないほど瞼を腫らし、判定も見方によっては敗れていても不思議はなかったという中谷の苦戦のわけは?
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
5カ月後に東京ドームで拳を交える可能性のある井上尚弥と中谷潤人が、12月27日、サウジアラビアのリヤドで開催された大型興行のメインとセミファイナルにそろって登場。噂されるドリームマッチの行方を占う“調整試合”は想定外の展開となり、さまざまな声が飛び交っている。現在は『トレジャーボクシングプロモーション』の代表を務める伊藤雅雪に元世界王者、プロモーターの視点から率直な意見を聞いた。〈全2回の1回目/つづきを読む〉
ジャッジ2人が115-113、残る1人が118-110。スーパーバンタム級の初戦となった中谷潤人は3者の支持を集めたものの、薄氷を踏む判定勝利だった。
対戦相手のセバスチャン・エルナンデスは無敗の世界ランカーとはいえ、同級10位の世界的には無名に近いメキシカンの一人。世界3階級制覇王者の肩書を持つビッグネームからすれば、予想外の苦戦である。中谷のセコンドに付くルディ・エルナンデス・トレーナーにかつて師事した、元世界王者の伊藤雅雪も渋い表情を見せていた。
中谷が負けていたよね
「僕は僅差でエルナンデスが勝ったと思いました」
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競った試合になればなるほど、判定結果は賛否両論を呼びやすい。試合後、伊藤のもとにはボクシング関係者から次々に電話がかかってきたという。
「『中谷が負けていたよね』って。正直、見方によって判断が分かれる試合でした。(ポイントの振り分けが)難しいラウンドが多かったので。118-110でエルナンデスを支持するジャッジがいても不思議ではなかった。ただ、その逆はないと思いますけどね。クリーンヒットを当てていたのは中谷ですが、手数が多く自分のボクシングで主導権を握っていたのはエルナンデスでした」
1回を終えた時点では想像できなかった。序盤は中谷の内側からの右ジャブ、外側からの左フック、そして前へ出てくるエルナンデスの入り際に合わせるアッパーも的確にヒット。相手の突進も、足でさばいていた。

