ボクシングPRESSBACK NUMBER

英国人記者も驚いた…中谷潤人なぜ大苦戦?「パンチが効かないなんて…」井上尚弥戦へ改善すべき“悪癖”「ナカタニは時々、リスクを取りすぎる」 

text by

杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

PROFILE

photograph byNaoki Fukuda

posted2025/12/30 17:02

英国人記者も驚いた…中谷潤人なぜ大苦戦?「パンチが効かないなんて…」井上尚弥戦へ改善すべき“悪癖”「ナカタニは時々、リスクを取りすぎる」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

スーパーバンダム級転向初戦で判定勝ちを収めた中谷潤人(27歳)。しかし、セバスチャン・エルナンデスに思わぬ苦戦を強いられた

 ナカタニがイノウエに対抗しようと思えば、人生最高のパフォーマンスが必要だ。アレクサンドロ・サンティアゴ戦でのナカタニは、相手にほとんど触れさせないほどの見事なボクシングで魅了してくれた。あの試合では、本当に美しくボクシングをしていた。距離を保ち、非常にシャープで、集中していた。

 ただ、その後のリョウスケ・ニシダ(西田凌佑)戦ではベストの出来ではなかった。最新のエルナンデス戦でも左を連打したり、アッパーを重ねたりする場面があったが、そうした攻撃の一部は私には雑に映った。ナカタニは時々、攻撃面でリスクを取りすぎる。そんなとき、『イノウエが相手だったら』と考えるのは私だけではないのだろう。

 エルナンデス戦では強靭なメキシカンを止めることができなかったが、イノウエ相手であれば、スピードと賢さを使う必要がある。試合の中で成功する場面は作れるとは思うが、そのためには絶対的な“Aゲーム”に持ち込まなければならない。最高のボクシングをしなければ勝つチャンスはない。それができるかどうかが焦点になる。

 私は依然として「井上尚弥vs中谷潤人」こそが世界ボクシングで最高のカードだと思っている。PFPのトップ10に入る複数階級制覇世界王者同士、しかも2人ともノックアウトアーティストだ。今回、不思議な話だが、ナカタニとイノウエが続けてリングに立ちながら、ダウンシーンは一度もなかった。しかし、私たちは知っている。より眩い脚光が当たれば、この2人にはいつでも試合を終わらせる力があることを。その瞬間が来ることを、私も楽しみに待っておきたい。〈全2回/前編から読む〉

#1から読む
「井上尚弥は退屈そうだった」英国人記者が見た“敗者ピカソの誤算”「あまりに消極的で…」圧倒的な実力差、なぜKO決着にならなかったのか

関連記事

BACK 1 2 3 4
#井上尚弥
#アラン・ピカソ
#中谷潤人
#セバスチャン・エルナンデス

ボクシングの前後の記事

ページトップ