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開幕投手→先発失格→クローザー、難病との戦い「全部やった」…前DeNA三嶋一輝が構想外から現役続行めざすわけ「嫁さんが“もっと粘って”って」
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石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/12/29 17:02
先発からリリーフに転向し、2020年、21年にはクローザーも務めた三嶋。再びその勇姿をNPBの舞台で見ることはできるのだろうか
「嫁さんが言うんですよ。『ここまで野球に自分の人生を懸けてきたんだから、もっと粘って、もっともがいて真剣にやった方がいいんじゃない。あなたの人生なんだから』って。いや、僕は家族のことを考えてだったのに、嫁さんは僕の人生を考えてくれた。だから最初はちょっと揉めましたね(笑)。でもまあ嫁さんには背中を押されてきたというか、現役中はいつも助けてもらったので、その存在は本当にでかいし、感謝していますよ」
優しい表情を見せ、三嶋は言った。三嶋夫妻が結婚したのは2017年である。振り返れば、先発として結果を出せずファームで苦しんでいる時期に夫人は三嶋を支え、ともに歩んでいく覚悟をしている。
粘れるところまで粘りたい
「だからね、もちろん期限は設けますが、粘れるところまで粘りたいと思うんです。それで本当にダメだったらもう仕方がない。しかしまあ、今は所属先がない状態ですし、先の目標というのが立てづらいので、すごくヘンな時間ですよ。
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ふと思い出すんですよ。小さいとき、野球選手になりたいと思って、なにも考えずに無心でボールを追いかけていた時代のことを。当時の恩師に連絡をして話を聞いたりね。そういう意味でいうと、今は心も体も自由ですよね」
人生において、何の縛りもない時間は非常に貴重だ。改めて真っ白になったキャンパスになにを描くのか。三嶋の経験がまた増えていく。
〈全3回の2回目/つづく〉

