「医学部志望」「理系職で安定した人生を」春高バレー出場部員の意外な進路…“私学スポーツ強豪校”の部活改革「監督＆コーチは元日本代表」 

　“文武両道”に惹かれて入学したと語るのは、山崎と同じミドルブロッカーでゲームキャプテンを務める堀江武琉（3年）だ。両親が共に元バレーボール選手で、中学から競技を始めた。「子供の頃からおとなびていて、無駄が嫌い」と自覚する堀江の言葉は実にリアルだ。

「僕が中学生の時はバレーボールはそこまでメジャーじゃなかった。プロ選手が増えて高収入になるなんて想定できなかったし、選手寿命もそれほど長くない。それならば勉強したほうがいい。文系職の仕事は将来、AIに取って代わられるものが多いかもしれないけど、理系職ならば安定した仕事に就ける。巨額の富を得て消費するよりも、安定した人生のほうがいいなと思って、文武両道の名電を選びました」

　1年時からレギュラーとして試合出場を重ね、星城戦でも北川監督仕込みのブロックでチームを勝利に導いた。190センチの身長とブロックを得意とするクレバーなプレースタイルはバレーボール選手として今後のキャリアを築くうえで、大きな武器になりそうだが、堀江の進路先は地元愛知の名城大。理系では異例のスポーツ推薦で理工学部への進学を決めた。

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「（強豪の）関東の大学からも声をかけていただいたんですけど、バレーよりも勉強ができる道を選びました。まだ何がやりたいかは見えていないですけど、大学は将来の選択肢を増やすための場所だと思っているし、バレーが強い学校へ行っても試合に出られなければ時間を浪費するだけ。それなら僕はバレーもして試合に出て、学びながら将来の選択肢をいろいろ探したいです」

愛工大名電バレーボール部の練習風景（筆者撮影）

リベロ植木が目指す医療の道

　先述したリベロ植木も具体的に描く将来がある。医療従事者になることだ。

「医学部に行くにはまだ学力が足りません」と謙遜するが、勉強熱心で成績は学年で2位。幼い頃から病気がちだったことに加えて、愛工大名電への入学を誰より願い、喜んでくれた父が合格発表当日に急逝したことが医療の道へ進みたいと志すきっかけになった。

「お父さんは脳の病気だったので、僕のように突然親を亡くすことがないように、病気を減らすための研究がしたい。春高出場も本当に喜んでくれたと思うので、笑顔でコートを駆け回って、楽しくバレーボールをしている姿を見てほしいし、後悔なくプレーしたいです」

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