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36歳ボクサー“今もスーパーでアルバイト”「羨ましいと思うことはあります。でも…」“現役最多58戦”渡邉卓也の告白「自分に負けるのだけは嫌なんで」

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森合正範Masanori Moriai

photograph byNumber Web

posted2025/12/27 11:42

国内の現役プロボクサーでは最多となる58戦のキャリアを持つ渡邉卓也。プロ19年目の現在も、情熱はまったく衰えていない

「いやあ、だけど、きついなあ、練習……。行きたくねえなあ、って思いますよ。ボクシング好きでやっているのに練習行きたくねえな、ってなるんです。行かなきゃ、練習しなきゃ強くなれねえのに」

――でも、行くわけですもんね。

「サボったら、自分に負けることになる。それだけは絶対に嫌なんで」

――自分に負けない、それを日々続けているわけですね。

「もちろん、ここまでボクシングをできる運もありますよ。やりたい気持ちと、体があってのこと。周りにもすごく恵まれている。でもね、そろそろ考えなきゃいけないよな、というのは感じますね」

――今後のことをですか？

「うん。みんなね、（将来のことを）考えながらやっているんでしょうね、きっと。それこそ、この前の木村（翔）を見たりして。でも、自分は全然ノープラン。今はやりたいからボクシングをやっているだけなんで」

　同世代の木村翔はジムの会長となり、かつて拳を交わした伊藤雅雪はプロモーターとして新たな道を歩み始めている。対戦した年下の三代大訓や森武蔵はグローブを吊るした。

　30代後半ともなれば、渡邉の周りには家庭を築き、家を建てた人もいれば、社長になった友人もいる。渡邉は独身で、裕福といえるほどの金銭は手にしていない。

――今後の生活が不安になったりすることはないのでしょうか。

「そこの不安もないんですよ。貯金がないとか、老後の不安とか。日本に生まれた時点でラッキー、恵まれています。ボクシングを辞めたらどうするかわからないけど、まあ、なんとかなるな、っていうのがあるんです。ちょっと他力本願かもしれないですけど、頑張れるよな、生きていけるよなという感じです」

――周りの人たちと比べたり、羨ましいと思ったりすることはありませんか？

「近所を散歩したら、すんげえ、でっかい家があるな、とか、こんな土地持ってんの、とか、羨ましいと思うことはいっぱいあります。でも、俺も充実していますよ。もしかしたら変わった価値観なのかもしれないですけど」

――生きていける、という自信はボクシングで培ったものですね。

「それもでかいです。肉体的にこれ以上きついことはねえだろう、と。人によって感じ方は違うでしょうけど、ボクシングは精神的にだって、きついですからね」

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