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「井上尚弥とのスパーリング、断る選手も…」「それが正解です」渡邉卓也はなぜ“逃げなかった”のか? 吐露した悔しさ「今、めっちゃ練習してえなあ」

posted2025/12/27 11:37

 
「井上尚弥とのスパーリング、断る選手も…」「それが正解です」渡邉卓也はなぜ“逃げなかった”のか? 吐露した悔しさ「今、めっちゃ練習してえなあ」<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

2016年12月31日、渡邉卓也は伊藤雅雪とのOPBF・WBOアジア太平洋スーパーフェザー級王座統一戦に臨んだものの、判定で敗れた

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森合正範

森合正範Masanori Moriai

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Hiroaki Finito Yamaguchi

井上尚弥とのスパーリングで腕を骨折しても、試合をした。その後もオファーがあれば、どんなときも怪物と対峙した。国内外で58戦のキャリアを積み重ねたボクサーの揺るぎない矜持とは。「絶対、逃げたとか思われたくねえし、絶対逃げたくない」。プロ19年目の36歳、渡邉卓也の生き様を追った。(NumberWebノンフィクション/全4回の3回目)

 

「井上尚弥とのスパー断る選手も…」「それが正解です」

 ファミレスで向かい合った渡邉卓也はインタビューに集中し、1時間半が過ぎてもドリンクバーの最初の一杯を飲んでいた。ようやく緊張が解けてきたのか、感情を吐露するようになってきた。

――フェザー級の渡邉選手と、スーパーフライ級の井上選手で、フィジカル的にはどうだったんですか?

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「だから、そのフィジカルでね、どうにかできりゃあいいんですけど、俺では無理だな、というのがありました」

――井上選手の強さを体感した後、またスパーに行くのはどういう気持ちでしたか。

「わかっているからどうにかなる相手じゃなかったんで。毎回、今日どうするか。当たり前ですけど、毎回強い。本当はね、自分のテーマ、次の試合に向けたテーマがあるじゃないですか、練習したいこととか。だけど、『まずはそれをいったん置いといて』となっていました」

 そこまで言うと、あの日々を思い起こすようにつぶやいた。

「自分のやりたいコンビネーションを試そうとか、じゃなかったなあ……。大丈夫かな、今日は大丈夫かな、みたいな。でも、たぶん、みんなそうなんじゃないですか。彼の相手を務める選手たちは……」

――今日、どう凌ぐか、ということですね。

「凌ぐか……。凌ぐっていい言葉だなあ。本当にそういう感じですよ」

――井上選手とのスパーリングを断っている選手もいるじゃないですか。

「いますよね。それが正解です」

――では、なぜ断らなかったんですか?

「いや、それはね、試合もそうですけど、逃げたくないというか。絶対逃げちゃ駄目、みたいな。強いヤツに挑んでいくことに意味がある。それは自分が思っていること。どっかで断ったら『あいつ、逃げた』となるじゃないですか」

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